🔊 サウンドバーの「斜め置き」は本当に効果がある? 最新機種ではもう不要?

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サウンドバーを導入したものの、「どうもセリフがこもって聞こえる」「音量を上げないと聞き取りにくい」と感じていないだろうか。

そんな時、インターネットで話題になるのが「サウンドバーの斜め置き(角度調整)」というテクニック。本当に効果があるのか、また、最新の高性能なサウンドバーでも試す価値があるのか、その疑問に明確に答えてゆきたい。特に設置に制約があり「床置き」している人は必読だ。

1. なぜ斜め置きは「有効なテクニック」なのか?

サウンドバーの斜め置きが有効とされる背景には、一般的な設置環境における音響的な課題がある。

課題:音がリスナーの耳に届かない問題

多くのユーザーは、サウンドバーをテレビ画面の下にあるテレビローボード(低いテレビ台)に水平に設置する。この場合、スピーカーユニットはリスナーの耳の位置よりもかなり低い位置にあり、音は床と並行に、あるいはわずかに下向きに放射されるだろう。

その結果、音は視聴者に届く前に家具の天板や床で反射し、セリフの明瞭さが失われたり、音がこもって聞こえたりすることになる。

有効性を示す「メーカーの回答」

この問題に対し、過去にはメーカー自身が解決策を製品に組み込んでいました。例えば、かつてのSONY HT-CT380などは、スピーカーユニットが最初から斜め上向き(仰角)になるよう設計されていた。これは、メーカーが「低い位置での水平設置はリスナーに音が届きにくい」という課題を認め、物理的に角度をつけることが有効であると判断していた明確な証拠だろう。

SONY HT-CT380は斜めにスピーカーが設置されている。このためテーブルなどに置くと耳の位置に直接音が響く。

特にテレビ台など、低い位置にサウンドバーを置いている人にとって、斜め置きはセリフやボーカルの明瞭度を向上させる効果が極めて高く、試してみる価値のあるテクニックとされてきた。

2. 斜め置きを実現する具体的な手段

効果を確信したら、安定性と安全性を確保した上で、斜め置きを実現してみよう。

試すべき調整の方向性

角度調整の目的は、スピーカーから出る「直接音」の軸を、リスナーの耳の高さに向けること。そのため、サウンドバーの前側だけを少し持ち上げ、斜め上向き(仰角)に調整する。

調整用の具体的な製品

AmazonなどのECサイトでは、「斜め置き」という商品名では販売されてはいない。代わりに次の検索ワードを使う。

角度調整付きスピーカースタンドをAmazonで

オーディオ用インシュレータをAmazonで

  • 角度調整付きスピーカースタンド: サウンドバー本体を載せる台座で、角度を細かく調整できるものが多く販売されている。最も安定性が高く、最適な角度を見つけやすい方法だろう。
  • オーディオ用インシュレーター: サウンドバーの底面に貼り付けたり、挟んだりするパーツ。振動抑制の効果も期待できるが、前側にだけ厚いものを挟むことで、手軽に仰角をつけることができる。

3. 最新機種では「逆効果」になる可能性も

斜め置きが有効である一方で、最新のサウンドバーでは事情が変わってきている。

デジタル技術による音響補正の進化

近年のサウンドバーは、DSP(デジタル信号処理)や自動音場補正機能が飛躍的に進化している。

かつてヤマハのYAS-108やYAS-109などに搭載されていた「縦置き・横置きのモード切替」のような物理的な補正(壁掛け設置時には、内部センサーが自動で最適な音に設定して、テレビ前置き設置時と変わらないサラウンドが楽しめます。と表現されていた)から、現在は「本体が水平に置かれていることを前提」に、音像の位置をデジタルで正確に計算し、耳の高さに持ち上げる処理(バーチャルハイト)を自動で行う場合がある。

バーチャル立体音響に対応し、縦置きと横置きを感知し自動で響きを変えていたYAS-108

つまり物理的な斜めおきではなくデジタルで補正しているのである。

  • Dolby Atmos対応機など、音を天井に反射させて立体音響を作る機種では、本体が水平であることが計算の前提だ。
  • このような高性能機で、勝手に本体を大きく傾けてしまうと、メーカーが設定した音場の計算が狂い、音の定位が不自然になったり、サラウンド効果が低下したりするリスクが生じるだろう。

4. 【結論】自己責任で「テスト」してから決めよう

サウンドバーの斜め置きは、今も昔もセリフの明瞭度を高める強力なテクニックといえる。しかし、最新機種ではデジタル処理と競合する可能性もある。

最終的な結論は当たり前だが「まずは試して、効果を実感できたら採用する」ことだ。聞こえ心地はスペックには現れない。

メーカーは安全性の観点から、取扱説明書に記載のない設置方法(斜め置きなど)を公式に推奨することはないだろう。したがって、このテクニックはあくまで「自己責任の範疇」で行う必要がある。

  • まずは手近な本やゴム材などでサウンドバーを軽く傾け、音を聞き比べてみてみる。
  • 「確実に聴きやすくなった」と効果を実感できた場合にのみ、角度調整付きスタンドの購入を検討しよう。そうすれば、無駄な出費をせずに、自分好みの最適な視聴環境を作り出すことができる。

5. 🛋️ 【床置き族へ】最高の音を引き出す設置テクニック

スペースの都合でサウンドバーを床に直置きしている方人は、音質面で最も不利な環境にいる。「サウンドバーを買ったのに音がこもる」と感じる場合、以下の2つの対策を必ず試してみよう。なぜこんなセクションを作ったかというと「結構あるある」だからだ。この例では手作りの台を作ってできるだけ耳の位置に近づけている。なおかつ本体の下にあるスピーカーの音が絨毯で塞がれないように細い台にした。見栄えは悪いのだが、意外とこういう苦労をしている人も多いのではないか。

1. 角度調整(斜め置き)の徹底

床置きはスピーカーユニットが耳の高さから最も遠くなるため、音の軸が足元に向かってしまう。音を直接リスナーの耳に届けるため、インシュレーターやスタンドを使って必ず斜め上向き(仰角)に調整しよう。セリフの明瞭度が劇的に改善し、音量を上げすぎずに済むかもしれない。

2. インシュレーターの導入は必須

床置きはスピーカーの振動が直接床に伝わり、低音が濁る原因となる。インシュレーターをサウンドバーの四隅に設置し、床との接触を断つことで、音の濁りを解消し、クリアな中高音域を確保できるだろう。特に斜め置きをする際は、前後に異なる厚さのインシュレーターを使用すると便利だ。

特にカーペットを使っている人は工夫が必要だ。

絨毯やカーペットの繊維は、特に高音域から中音域を吸収する性質があるが、底面スピーカーの場合は、低音域もその振動を絨毯に奪われ、音が減衰してしまう。また柔らかい絨毯の上に直接置くと、サウンドバー本体がわずかに沈み込み、振動時に設置が不安定になるだろう。これにより、不要な振動(ビビリ音)が発生したり、音の定位が乱れたりするかもしれない。

絨毯の上で底面スピーカー搭載のサウンドバーを使用する場合、音質を改善するためには「硬質な素材で絨毯の影響を遮断すること」が必須になる。

  • インシュレーターの使用: サウンドバーの底面の四隅に硬質なインシュレーター(金属製や硬木、御影石など)を設置し、絨毯の繊維から本体を浮かせ、振動を遮断する。
  • 硬い台座(ボード)を敷く: サウンドバーのサイズに合わせた硬いボード(厚い木材、大理石、オーディオボードなど)を絨毯の上に敷き、その上にサウンドバーを置きます。これにより、床面との間に安定した反射面を作り出すことができきる。

この場合も、床置きのアドバイスと同様に、斜め置き(仰角調整)とインシュレーターによる対策が非常に重要になるだろう。

メーカーの想定外のため自己責任で色々試すしかないわけだが、これらの対策を行うだけで、床置きでも設計者の意図に近い、クリアで迫力のあるサウンドを楽しめるようになるかもしれない。少なくとも不満を抱えているなら試してみたほうがいい。

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