ある記事を書くのにLeicaのM11-Pというカメラがあることを知った。この150万円ほどするカメラのウリにC2PA(コンテンツクレデンシャル)という機能がある。特別な人の特別な機能なんだろうなと思った。
ところがコンテンツ・クレデンシャル機能について調べていて再び驚かされることになった。なんとGoogle Pixel 10が同じような機能を備えているというのである。
これについて調べるとこの先「Google Pixel」か「iPhone」かを選択するうえで新しいチェックポイントが生まれているということがわかる。このC2PA(コンテンツクレデンシャル)についてGEMINIを調べながら記事を作った。
なおGoogleはC2PA推しなのだが、ChatGPTに聞くとより慎重な答えが返ってくる。Appleは逆に「過剰な情報を付けずプライバシーを守りたい」と考えている可能性がある。
目次
コンテンツ・クレデンシャルとはなにか?
Geminiに「書いたコンテンツが間違っていないか?」だけを聞こうとしたのだがGoogleが推している技術だからなのかノリノリで長いテキストを書いてきた。
コンテンツクレデンシャル(C2PA)は、AIによる偽造やディープフェイクが社会問題となる中、「その写真がいつ、どこで、どのカメラで撮られ、どう加工されたか」という『真正性』を証明するための世界標準規格だ。
この仕組みは、2021年にAdobe、Microsoft、Intelなどが中心となって設立した団体(C2PA)によって策定された。現在はSony、Nikon、Canonといった主要カメラメーカーに加え、GoogleやAppleといったスマホ大手も参加している。
歴史を動かした2つのマイルストーン
この技術が世に出るまでの流れには、象徴的な2つの出来事があるという。
- 2023年:ライカが切り拓いた「真実」への道 2023年10月、ドイツの老舗メーカー・ライカが発売したフラッグシップモデル『Leica M11-P』が、世界で初めてこのC2PA機能をハードウェアとして搭載した。150万円を超える「狂気」とも言える価格には、AI時代に「混じりけのない真実を写す」というプロツールとしての誇りと、世界に先駆けた開発コストが込められており、知る人ぞ知るという銘品になっている。
- 2025年:Pixel 10による「信頼」の民主化 ライカが提示した「高価な証明」を、誰でも持てる形に変えたのがGoogleの『Pixel 10』シリーズ。Googleは2024年にC2PAの運営に正式参画。自社製チップ「Tensor G5」を核に、スマホとして世界最高水準のセキュリティでこの機能を実装した。これにより、特別なプロだけでなく、一般ユーザーが日常的に「写真の信頼性」を扱える時代が幕を開けたといえる。
サーバーサイドかローカルか:Google Pixel10のコンテンツクレデンシャル機能が安い理由
Leicaは光学的に作られた写真が「本物であること」をカメラ内部で証明するアプローチを取っている。一方でGoogleは処理の一部をオンラインで行っているようだ。また、自社設計の「Tensor G5」チップとセキュリティチップ「Titan M2」を連携させて普及を図っている。このアプローチの違いが価格を大きく左右している。
これを裏付けるようにGoogleは「オンライン接続されていない場合機能がうまく働かない可能性がある」とユーザーに注意喚起している。
つまり今後Googleはこの技術を大いに売り出して「インフラ化」したいようである。
どんな人がC2PA採用を検討しているのか?
まだ新しい技術のためユーザーの反応はまちまちだ。GEMINIはユーザーの検索キーワードから次のように分析する。
まず初心者はPixel10のカタログを見て「これはなんだろう?」と辞書的に反応している。まだまだ自分たちの利用シーンを想起するには至っていないようである。一方で「自分の写真にどう反映されるのか?」について調べたい人も増えているようである。プロコミュニティでは「無加工を証明するにはどうすればいいか」などの情報が出ているようだが、まだまだ少数派だろう。つまり「コンテンツ・クレデンシャルだから」という理由でカメラを購入する人は少ないのが実情だ。
検索キーワードの例
- C2PA とは?
- コンテンツクレデンシャル 意味?
- Pixel 10 C2PA 見え方
- oogleフォト カメラで撮影 表示
どうやってC2PAを確認すればいいのか?
クレデンシャルを残せるハードウェアは普及が進みそうだが「検証」のほうはまだ対応がまちまちだ。
- 公式検証Webサイトを使う
- Chromeの拡張機能を使う
- Googleフォトを使っている人は「写真の詳細履歴」にAI編集の情報が残っている。PIXEL10で撮影した写真はここに最初から撮影情報が残る仕組みになっている。実はすでに対応が始まっているということになる。
本来「報道、ブログ、SNSの写真が本物か」を見たい人が多いと思うのだが、SNSに乗った時点でクレデンシャル情報が削られてしまうことが多いようだ。
Appleはどう対応しようとしているのか?
ところがここで大きな展開がある。
AppleもC2PA対応を進めているようだがそもそも2025年1月22日の段階では「アドビが推進する生成AI画像の「明示化」、アップルとXは参加するのか(Forbes)」と言われていたそうだ。
他社製の技術にあまり乗らず独自技術を使いたいという気持ちや、完璧なUIを作ってから仕上げたいという発想がある為に参入が遅れたものと考えられる。
GoogleのGEMINIは「にも関わらず遅れて参入を決めているので「もはや業界的に無視できないトレンドになっている」とも考えられる」と言っている。iOS 18でAPIは作られていて、サードパーティアプリでは利用できるとのことである。
ところがChatGPTに聞くと「履歴が残るということは2つの危険性があるということだ」という。
プライバシーか真生性か
- まずGEMINIが言うようにC2PAが一般化すると「履歴がない写真は怪しい=フェイク」と認定されるかもしれない。つまり冤罪が増える。
- さらに意図しないメタデータがSNSに乗って拡散する可能性がある。例えば地図情報などがSNSに乗って拡散すると、どこで写真を撮影したのかが暴かれてプライバシー場の問題がでる。
過去にはGPS情報がそのまま流れていた時代も
メタデータというと有名なのがEXIFのGPSデータである。写真管理や履歴管理では有効なデータだが、まだあまり存在が知られていなかった時代にはSNSでGPSデータが流れてしまい(今のSNSでは対策が進んでいるのでそういうことは起こらない)ストーカー被害が起きたりしていた。今でも建物や背景などを公開情報と照らし合わせるOSINT(公開情報分析)で特定可能でありプライバシーの懸念は消えない。
C2PAが詳細な履歴を残すと「正確な撮影時刻」や「デバイス情報」などが詳細に知られるわけだが分かる人にしかわからない刻印になりかねない。
結び:写真の「信頼」と「プライバシー」を自分で選ぶ時代へ
現在、この「コンテンツクレデンシャル」を目的にデバイスを選ぶユーザーはまだごく少数だろう。「一体どんな技術なの?」という、辞書的な興味を持っている方が大半。
しかし、技術が一般化するにつれ、「知らないこと」が思わぬデメリットになる日が来るかもしれない。Googleに言わせれば将来的に「証明書(クレデンシャル)がない写真=フェイク(偽物)」と見なされてしまうリスクがあるし、Appleにしてみればプライバシーが拡散する可能性が出てくる。
このため、Forbesの記事でも指摘されていた通り、X(旧Twitter)などの主要SNSがどこまで厳密に対応するかはまだ不透明だ。SNS側でデータが削られ、証明書のない写真が氾濫する時期はしばらく続きそうだ。しかし、ユーザーの間でこの技術が常識になれば、「なぜこの写真には証明が付いていないの?」という疑いの目が向けられる可能性は否定できない。
自分を守るためには、今のうちから技術の挙動を知っておくことが重要になりそうだ。
こうした「デジタルデータの扱い」を知っておくことが、新しい時代のリテラシーになる。
今後の展望として、Googleは「写真の正しさ」を押し付けるのではなく、「いつ、どんな加工が施されたのか」を後から追跡できる「トレーサビリティ」に軸足を置いてくる。対するAppleは得意分野である「Apple Intelligence」とこの信頼性をどう矛盾なく統合し、魔法のようなユーザーインターフェースに落とし込んでくるのか、あるいはプライバシーを優先し最低限度の対応に留めるのかなどまだまだ課題は多い。
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