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作家がセルフプロモーションまで担当する面倒な時代が来た

これまでの作家や書き手は、基本的に「文章を書く」ことに専念してきました。
しかしオンライン媒体では、その前提が少しずつ崩れています。記事を書くだけでなく、セルフプロモーションを行い、さらにその効果を測定し、次に何をするかを自分で判断する――そんな時代が来ると言われるようになりました。
背景にあるのは、オンライン特有の構造です。紙媒体のように編集部や営業部が間に入ることは少なく、配信経路はSNSや検索エンジンなどに分散しています。その結果、「書いたあとに何が起きたのか」が数字として即座に返ってきます。良くも悪くも、書き手自身が結果と向き合わざるを得ない環境になったのです。
今はまだAI原始時代
とはいえ、理想と現実の間にはかなりのギャップがあります。
要約文をAIに書かせたり、トラッキング用のUTMが付いたURLを自動生成したりすることは、すでに可能です。しかし、それをSNSに自動投稿するとなると途端に難しくなります。効果測定にしても、GA4などの分析ツールは用意されているものの、どんなレポートを見るか、どんな指標を追うかは、結局自分で設計しなければなりません。
真面目な人ほど陥りがちなKPI地獄
AIでなんでも自動化して生産性を上げようというスローガンが先行していることもあり「なんでもきちんとこなせないと時代に取り残されるのではないか?」という気持ちになりがちですが、生真面目にやりすぎると、いわゆる「KPI地獄」に陥ります。滞在時間、直帰率、流入元、再訪率、SNS別の反応……Google Analyticsで取れる数字は無限にあるからです。実際にやってみるとGeminiはかなりノリノリで「これもあれもみましょう!」と言ってくる。
KPI地獄に陥らないためには、勇気を持って「見るべきKPI」を減らす必要があります。
たとえば、
- その記事が「最後まで読まれたか」を見るなら滞在時間だけを見る
- プロモーションの手応えを見るなら「流入元×記事単位」だけを見る
といった具合に、目的ごとに指標を1〜2個に絞るだけでも、判断はずっと楽になります。
ただハマってみるのも悪くないかもしれない
もっとも、一度は徹底的にハマってみるのも悪くありません。自動化や分析の限界に挑戦してみることで、「何ができて、何ができないのか」が体感的に分かるからです。その経験は、後になって必ず役に立ちます。2026年後半には、GA4の管理画面内で「なぜこの数値が落ちたのか」の論理的な推論プロセスをAIが自ら書き出す機能が、一般ユーザー向けにも提供される予定になっている。
GoogleAnalyticsのレポートには普段使っていない指標を見ることができるセクションがある。例えばこの図では「ページとスクリーンクラス」の横にある[+]を押すと様々な指標が出てくる。

例えばGoogleSiteKitが適切に設定されていればWordpressのカテゴリー情報なども解析できます。できなければGeminiが親切にやり方を教えてくれるでしょう。ここで自分で解析したくなるかもしれませんが「このレポートの共有」を選ぶとCSVデータがエクスポートできますから、これをGeminiにフィードすれば色々と質問をする材料にはできるでしょう。自分が作った仮説どおりにユーザーが動けばそれは次のモチベーションにつながるでしょう。

「あれもこれもできればいいのになあ」と考えるあなたはもう「勝ち組予備軍」

現状は、AIにとって見ればまだ原始時代のような状況です。だから色々なことをやらせてみたいのにまだまだだなあと考えるあなたは「AIでこんなこともできるのか!」と単純に喜んでいる人たちよりも勝ち組寄りのところにいるといえます。
OpenAIは、ツール操作を前提としたAIエージェントや、複数ステップの作業を自律的に実行する仕組みなど、次の手を着実に打っています。因果推論、意思決定AI、エージェント基盤といった技術分野を見ていくと、「書く→配信する→測る→次を決める」という一連の流れが、将来的に自動化されていく方向性ははっきりしています。
Googleが取り組んでいる主な3つの領域
- マーケティング・アドバイザー (Marketing Advisor) 記事で触れられている「PDCAの自動化」に最も近い取り組みです。Googleは、Chromeブラウザ上で動作し、Google広告やGA4のデータを横断的に把握するAIエージェントを開発しています。
- Plan (計画): ビジネス目標に合わせてキャンペーン戦略を立案。
- Do (実行): 広告クリエイティブの作成や設定を代行。
- Check (分析): 「なぜこの数値になったか」の因果関係を特定し、改善案を提示。
- GA4とGeminiの統合強化 今回あなたが行った「カスタムディメンションの設定」のような作業も、将来的には「カテゴリー別の精読率を分析できるようにして」と指示するだけで、AIが裏側の設定からレポート作成まで完結させる世界を目指しています。現在、Vertex AIなどを通じて、企業の独自データ(ドキュメントやデータベース)をAIエージェントが「理解」し、ビジネス判断を下すための基盤が構築されています。
- マルチエージェント・オーケストレーション Googleのビジョンでは、1つのAIがすべてをやるのではなく、「分析専門のエージェント」「コンテンツ制作専門のエージェント」などがチームのように連携して、一つのビジネスゴールを達成する仕組み(Multi-agent systems)を提唱しています。

PDCAマニュアルの整備が今後の作業の基礎になる
今は、すべてを完璧に自動化しようとするよりも、「どこまでを人間が判断し、どこをAIに任せるのか」を理解する時期なのでしょうが、時折技術のチェックをしつつ「これまでのワークフローのここをAIに任せることができるようになった」とワークフローを見直す事が必要です。ただしそのためにはそもそもワークフローをきちんと構築しておくことが重要です。ただ快適に書く環境を整えるだけだけでなく、PDCAサイクルを書き出してみてマニュアル化することが重要です。こうしたマニュアルをAIに読ませることによってAIに適切な指示を出すこともできるようになるでしょう。
マニュアルには次の要素があればよいでしょう。
目的の定義
この記事・この活動は何のためか(集客/関係構築/検証など)。
→ AIに任せるかどうかの判断軸になる。
作業フローの分解
書く → 要約する → 配信する → 測る → 判断する、を粒度細かく列挙。
→「ここは機械的」「ここは人間判断」が見える。
見るKPIと見ないKPI
見る指標は最大でも目的ごとに1〜2個。
見ない指標も明記してKPI地獄を防ぐ。
判断ルール(if-then)
例:
- 滞在時間が○秒未満 → 次回は構成を変える
- SNS流入が多い → 同系統で再投稿
→ ここが将来AIに置き換わる部分。
現時点の技術的制約メモ
「自動投稿できない」「設定は手動」など。
→ 数年後に見返したとき、AI化ポイントが一目で分かる。
Googleのパラダイムシフト:Chain-of-Thought(思考の連鎖)
2025年から2026年にかけて、GoogleやOpenAIはこの「弱点」を克服するために、「Chain-of-Thought(思考の連鎖)」という技術をモデルの内部に組み込み、劇的な進化を遂げています。
1. 「直感」から「熟考」へのパラダイムシフト
これまでのAIは、入力を受けると即座に回答を生成する「直感的な判断」しかできませんでした。現在の最新モデル(Gemini 2.5/3 や OpenAI o1/o3 など)は、回答の前に「内部的に考える時間」を持つように設計されています。
- 従来のAI: 質問 → 即答(たまに計算間違いや論理破綻を起こす)
- 最新の推論モデル: 質問 → 内部的な思考(ステップに分解、自己修正、検証) → 回答
これにより、数学、プログラミング、そしてあなたがブログで書かれたような「複雑なビジネスのPDCA(もし〜なら、こうする)」といった論理的な判断の精度が飛躍的に向上しました。
2. Googleの具体的アプローチ:Gemini の「思考機能」
Googleは、Gemini APIを通じて「Thinking(思考プロセス)」を開発者がコントロールできる仕組みを提供しています。
- 思考の可視化: AIが裏でどう考え、どのデータに矛盾を感じ、どう修正したかのプロセス(思考サマリー)を出力できます。
- 計算リソースの配分: 簡単な質問には即答し、複雑な分析には「思考予算」を多く割り当てて深く考えさせる、といった柔軟な運用が可能になりました。
3. まだ残る「弱点」と人間の役割
推論能力が向上したとはいえ、2026年現在でも以下の課題は残っています。
- 「常識」の欠如: 非常に高度な数式を解けるのに、現実世界の物理的な常識や、人間特有の「空気感」を読み違えることがあります。
- 未知の事象への対応: 学習データに全くない、あるいはあなたのサイト独自の特殊な事情(特定の読者層の好みなど)については、推論の材料が足りずに間違った結論を出すことがあります。
結論:だから人間が作ったマニュアルはまだまだ重要
AIの推論が強くなればなるほど、「何に基づいて推論させるか(=良質なプロンプトとコンテキスト)」が重要になります。ただしGoogleがGeminiとGA4を統合すれば「どのレポートをみて指標をどう操作するか」という記述は意味を持たなくなるでしょう。
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