Airmac Expressにはブリッジモードと言われるモードがついている。これはなんのためにあるのかを考える。検証のためにハードオフで全ての世代のAirmac Expressを買ってきた。3台の合計金額は2,750円だった。のちにAirmac Extremeの第5世代を見つけた。こちらは2200円だった。Amazonでも取り扱われているがかなり情報が不正確なのでできればハードオフやヤフオクで探したい。
Apple製品を使うとApple用のHDD(GUIDパーテーション)がそのまま使えるというメリットがある。また設定もOSに統合されているのでBuffaloなどの製品を使うよりは簡単である。だが扱い方にはややコツが必要だ。
全ての機器をインターネットに接続するためには同じセグメントに収める必要がある
全ての機器をインターネットに接続するためには全ての機器を同じネットワーク・セグメントに接続する必要がある。このために使うのがブリッジモードだ。まずは概念から説明するが「やり方だけが知りたい」人は設定のセクションで詳細を見てほしい。
今回はまずAirmac Express系の3種類を準備したが、基本的な概念や操作方法はAirmac Extremeでも同じである。
- Airmac Express 802.11 g:ACアダプター型の最初のモデル。後述するようにジャンクのために無線LANに問題があった。WANポートがついている。
- Airmac Express 802.11 n 第一世代:ACアダプター型の二番目のモデル。802.11 nに対応した。WAN/LAN兼用ポートがついている。
- Airmac Express 802.11 n 第二世代:AppleTVと同じ形をしている。WANポートとLANポートが分かれている。
これを次のようにして接続した。
これをこのまま接続するとネットワークの分断が起きてしまう。
だがおそらくこのダイヤグラムを見ただけでは何が分断されているかわからないに違いない。ネットワーク図を書き直してみた。それぞれの機器が壁になっていて外との接続が妨げられている。このため中心の狭い部分にある機器(2)しかインターネットに接続できないのだ。これがセグメント化だ。
セグメント解消のためにはブリッジモードを使う
1と3をインターネットに接続するためには、それぞれをブリッジモードにする必要がある。802.11 gはOS 10.5とOS10.6で動くAirMacユーティリティでしか管理できないので今回は古いバージョンのAirmacユーティリティで設定することにした。接続共有:切(ブリッジモード)と書かれている。
AirMacのルーターモードを変更できないという人がいる。設定すべきところが見つからないのだろう。実はメニューに「ルーターモード変更」というメニューはない。例えばBuffaloの製品には「ルーターモード設定ボタン」がついていたりアプリケーションで切り替えができるようになっている。ここでつまづく人は意外と多いのではないだろうか。
古いAirMacユーティリティの操作方法
古いAirMacユーティリティでは「インターネット接続」から「接続共有」を選び操作する。
現行バージョンの操作方法
ちなみに現行バージョンのAirmacユーティリティはこういう形になる。ルーターモード:オフ(ブリッジモード)と名前が変わっている。要するに「ネットワークの分断をしないでくれ」ということだ。
こうすることで全ての機器が同じネットワークに入り全体が見渡せるようになった。
セグメントが解消されると全ての機器がインターネットにつながる
Airmac Express1とAirmac Express 3はWi-Fiの電波を飛ばしているので接続するとインターネットにつながる。またスピーカーも見ることができるようになった。
ルーター機能は「国境」のような役割を果たしている。これを取り除くと全てが同じネットワークに所属できるようになるのだ。
意外と使いにくいネットワーク拡張
AirmacはSSIDを統合するネットワーク拡張という仕組みがある。ユーザーがSSIDを意識することなく接続すればあとはAirmacが適当に捌いてくれるという仕組みである。一見便利そうなのだが意外と面倒だった。
Airmac Expressはそもそもネットワーク拡張に対応していないようだ
Airmac ExpressはAirmac Extremeの中継器として利用することも想定されている。このためまずAirmac Extremeをネットに接続しておきAirmac Expressを足すと「ネットワークの拡張」をするかを聞かれる。これでWi-Fiの電波が届きにくいところを埋めるためにAirmac Expressを中継器として利用するためのモードだ。ユーザーはSSIDについて意識する必要はない。
Airmac Express同士はこのような使い方は想定されていないためネットワークの拡張は使えないようだ。ネットワーク拡張は利用できないのだが実際には中継機として使える。
ちなみにAirMac Extremeを後から購入しても自動的にAirmacを探して拡張モードで繋ぎに行こうとする。つまりAirmac Extremeが親機である必要はないようだ。
意外と使いにくいネットワーク拡張
設定は簡単だ。ただその設定が必ずしも好ましいものにならない可能性がある。
まずMacにEthernetで接続し設定アプリを開く。「その他のデバイス」を押すと設定画面が出て自動で接続される。
ただ自動設定のままだと450Mbpsで接続されているのに実測値を計測すると1Mbpsなどの極めて低速の接続になったりする。
今回はAirmac Express3というSSIDにしているのだがAirmac Express 802.11 n 2nd genに接続しているのかAirmac Extremeに接続しているのかわからなくなってしまう。「拡張」なのでデフォルト設定ではどちらも同じSSIDを利用している。オプションを選んでSSID名を変えることは可能だがこれが表示されなかったりもする。
実際にどこに何が接続されているのかは設定アプリで判断するしかない。
自動で設定されてしまっているので接続ルートによっては接続しているHDDへのアクセスが極端に遅くなったりインターネットへの接続が極端に遅くなったりする。例えばTimemachineの初回などは100GB単位のデータを送信したりするので通信速度はできるだけ早くしておきたい。そのためにはまずSSID名を変えて明示的にそこに接続しに行く必要がある。
Airmac Extreme 中継器として使う
意外に思えるかもしれないがAirmac ExpressもAirmac Extremeも機器としては同じものである。つまりAirmac ExpresのSSIDをAirmac Extremeで中継することもできるしAirmac ExtremeのSSIDをAirmac Expressで中継することもできる。ただし、前述したようにSSIDを同じにしてしまうとどちらに接続しているのかよくわからなくなってしまうことがある。例えばAirmac ExtremeにHDDを接続している場合などは接続が早い方がいいわけだから分けておいた方が使いやすいかもしれない。
Airmac Expressを使うべきシーンとAirmac Extremeを使うべきシーン
Wi-Fiルーター・中継機としては同じような性能を持っているAirmac ExpressとExtremeの違いは次のようなものだ。
- Airmac ExpressにはAirplayのスピーカーが接続できる
- Airmac ExtremeにはUSBディスクが接続できる。USBディスクはAPSFには対応していない。新しいMacでHDDをフォーマットする場合にはこのGUIDのコンテナを作る必要がある。またネットワークを拡張することができる。
Airmac Expressを使うべきシーン
Airmac Expressを使うべきシーンはいくつかある。
- 無線対応していないMacを一台だけ接続したい。
- ホームシアターシステムに音声データを送りたい。
Airmac Expressを使うべきシーン
- 無線対応していないMacやNASなどを3台まで接続したい。
- ハードディスクを接続してNASのように利用したい。
ちなみにTimemachineにも対応しているのだがこれはあまり利用しない方が良さそうだ。最初は伝送速度があまり速くないようでお話にならなかった。設定を見直せばなんとかなる可能性もあるがUSBケーブルで接続した方が手っ取り早い気がする。結局、SSIDを分けて明示的にAirmac Extremeに接続しに行くと「まあ使えるかな」という程度の実測値を得ることができた。転送速度は機種によって異なるが300Mbpsから450Mbps(Airmac Extremeの最大値だ)と言ったところ。
ちなみに消費電力は30W以下ということである。これはMacMiniをファイルサーバーとして立ち上げるよりややましと言った程度。
Airmac Expressの相性問題
今回買ってきたAirmac Express 802.g(第一世代のAirmac Express)はあまり調子が良くないようである。Wi-Fiので接続すると設定ができなくなることがあった。ネットワークから消えてしまうのだ。さらにこれを接続するとネットワーク全体がインターネットに接続できなくなることがある。これを抜いたところネットワークが復旧したためになんらかの不具合を起こしているようだ。
最初は「ハードオフで買った中古品だからだろう」と思っていたのだが、実はそうではなかった。Airmac Express 802.11 n 第二世代の子機として接続したところ安定するようになった。まずAirmac Express 802.11 n 第二世代のEithernetポートにONUを接続しブリッジモードでWi-Fi電波を出すことにした。そのWi-FiにAirmac Express 802.11 gを接続すると安定する。つまり他社製のWi-Fiとの相性が良くないことになる。ONUからの電波を中継することもできないしBuffaloの機器とも相性が良くなかった。
なおネットワーク設定を色々といじると思わぬところに弊害が出ることがある。今回も直接ONUに接続してスピードテストをやったところアップロードが1Mbpsという数字が出た。ONUを再起動したところ元に戻った。同じ形をしているのにAirmac Express 802.11 n 第一世代は直接他社のWi-Fiに接続しても何の問題も起きない。不思議といえば不思議なのだが「これはそういうものだろう」と考えざるを得ない。
きちんと設定してやればスピーカーを共有しつつネットワークアダプターとしても使える
今回一通りAirmacを買ったのはBuffaloのWZR-HP-G301NH/Eを置き換えたかったからだ。WZR-HP-G301NH/Eは親機と子機の組み合わせになっている。無線LANに対応していないPowerMac G4のアダプターとして利用していたのだが使わないときにはこれといった用事もないために撤去することにした。
また今使っているONU(光ファイバー通信用の端末)のWi-Fiルーター機能は非力なのでできるだけ負荷はAirmac側にかかるようにしている。
802.11 n 第一世代か第二世代が1台だけあれば二台分の仕事をしてくれるのだが安かったので話のネタにと全て買うことにした。802.11 gと802.11 n第一世代が各500円で、802.11 n第二世代が1500円だった。さらに、Airmac Expressにはスピーカー共有機能もついているためホームシアターシステムに接続しておけば同じネットワーク上のMacを全てホームシアターシステムに接続させることができる。
無線機器がないもののネットワークアダプターとしても使える。Wi-Fi機能のないNAS(IO Data RockDisk Next)を接続してメディアサーバーとして利用することができた。
もちろんルーターモードにして接続することも可能
AirmacExpressのルーター機能をONにするとどうなるのか。ルーター機能をONにしたネットワークはインターネットから遮断される。つまり外側から覗き見できなくなる。これをうまく利用すればファイル共有システムをインターネットと独立させることも可能である。
ただしセキュアなクラウドネットワークが普及した今、こうしたホームネットワークの需要はそれほど多くないかもしれない。
コメントを残す