自分がそうだからなだけかもしれないのだが、iPhone SE(第2・第3世代)を愛用する方の多くは、「物を大切に、長く使いたい」という堅実な考えを持っているのではないかと考えている。しかし、いざ充電について調べると「急速充電対応」という言葉が踊る一方で、どうすればそれが可能なのか、本当にバッテリーを傷めないのか、確かな情報は意外と見つからない。
実は、iPhoneに長年付属していた「四角いUSB-Aアダプタ」では、どれだけ待っても急速充電はできない。さらに、便利だと思っていた無線充電も、100%のまま放置すればノートPCをACアダプタに繋ぎっぱなしにするのと同じように、バッテリーの寿命を縮めるリスクを孕んでいる。
本記事では、Appleのサポートもあまり語らない「急速充電の正しい仕組み」を徹底解説。なぜType-Aではダメなのか、粗悪なMFi認証品をどう見抜くのか。大切なiPhone SEを、安心・安全に、かつ最短時間で充電するための「正解」をできるだけわかりやすく紐解いてゆきたい。
目次
ある日「Lightningケーブルが怪しい」と感じたことがあり充電について調べてみた。しかしアップルサポートは「世の中に多数出ている充電器を全部検証できない」という理由であまり詳しいことは教えてくれなかった。
なぜType-Aでは急速充電ができないのか
もともとAppleにはTypeAの充電器がついていた。だからそれが確実だろうと思いこんでいたのだが実は違うそうだ。「20W以上のUSB-PD対応アダプタ」と「USB-C to Lightningケーブル」の組み合わせが必須。Type-CはiPhoneと充電器の間で精密な充電制御が行われるが、Type-Aではそれができない。
- 第1世代 (2016)は急速充電非対応(5W〜12W程度で通常充電)
- 第2世代 (2020)は急速充電対応18W以上のUSB-Cアダプタ30分で最大50%
- 第3世代 (2022)は急速充電対応20W以上のUSB-Cアダプタ30分で最大50%(バッテリー容量が増えているためにワット数が多いほうがいい)
ネットには「USB Type-Cケーブルには3A対応と5A対応の2種類があり」と書かれていて充電器によって急速充電できないことがあるのか?と思ってしまうのだが、iPhone程度であれば3A対応ケーブルで十分だ。
粗悪なMFi認証品をどう見抜くのか
AppleはMFi認証品データベースを持っているのだが更新が追いついていない。形状のきれいさで確かめるそうだが、それよりもBelkin、Anker、エレコム 、サンワサプライ、バッファローなどの名前が通った会社の製品を選ぶのが重要である。
大切なiPhone SEを、安心・安全に、かつ最短時間で充電するための「正解」
急速充電はバッテリーに悪いのでは?
- 急速充電はバッテリーに悪いというイメージがあるのだが実はじっくりじんわり充電するとバッテリーが熱い時間が長く続くためバッテリーを痛める可能性がある。
- 無線充電でも有線充電でも「挿しっぱなし」ではバッテリーが痛む。100%の高負荷状態でトリクル充電(継ぎ足し充電)の期間が増えるからである。これはPCにACアダプターを挿し続けるのと同じ現象である。
- つまり、これらを組み合わせてバッテリーに優しい充電スケジュールが組めるかどうかが非常に重要なのだ。
結論:iPhone SEを長持ちさせる「ハイブリッド充電術」
結局のところ、どの充電方法が最強かという答えは一つではない。「スピードの有線」と「手軽さの無線」を、自分の生活リズムに合わせて使い分けることこそが、バッテリー寿命を最大化させる秘訣だ。
1. 「時間」をコントロールする
急速充電の仕組みを知っていれば、「あと15分で家を出なきゃ」という時でも慌てる必要はない。有線でサッと30%ほど回復させれば十分だと分かっているからだ。逆に、時間に余裕があるなら無理に100%を目指さず、80%程度で切り上げる勇気がバッテリーを若く保つだろう。
2. 「熱」を放置しない
無線充電は便利だが、「位置ズレ」や「満タン後の置きっぱなし」による熱はバッテリーの天敵。仕事中に「ちょっとだけ回復させる」といった、文字通り「ほどほど」の付き合い方が、無線充電器との最も健全な距離感と言える。

3. 「知識」という名のメンテナンス
「Type-Aでは急速充電できない」「100%維持はノートPCと同じで毒」といった知識があれば、もう怪しい充電器や古い習慣に惑わされることはない。
iPhone SE(第一世代)
急速充電に関する記述がない。つまり非対応だ。付属のアダプターは5W x 1Aのものだった。

iPhone SE(第2世代)
18W以上のアダプターを使うと急速充電ができる。Macを使っても充電できる。1ただし18W以上のアダプターでも必ずType−Cになっているものを選ばなければならない。
また無線充電は7.5Wに制限される。つまり、高価な15W無線急速充電器を買ってきてもiPhone SE(第2世代と第3世代)では宝の持ち腐れとなる。Ankerのウェブサイトに情報があった。
iPhone SE(第3世代)
20W以上のアダプターを使うと急速充電ができる。Macを使っても充電できる。ただし20W以上のアダプターでも必ずType−Cになっているものを選ばなければ急速充電にならない。
また無線充電は7.5Wに制限される。つまり、高価な15W無線急速充電器を買ってきてもiPhone SE(第2世代と第3世代)では宝の持ち腐れとなる。Ankerのウェブサイトに情報があった。
Apple純正USB充電器品を使うとこうなる
12W充電器は5W充電器よりもバッテリーに優しい……
Apple純正の12W充電器(5.2V X 2.4A = 12.48Wだそうだ)は急速充電とは言えないまでも5W充電器よりはバッテリーが痛む充電時間を短くすることができる。さらに20W充電器はType−C対応になるため急速充電に対応。しかしながら、ケーブルをType-A LightningからType-C−Lightningに買い替えなければならない。
つまり、iPadに使われていた12W充電器をもっている(あるいはハードオフなどで安く手に入れられるなら)それを流用するのは「アリ」である。
- 50%までの時間
- 5W: 約1時間15分
- 12W: 約45分〜50分
- 20W: 約30分
- 100%までの時間
- 5W: 約3時間
- 12W: 約2時間〜2時間15分
- 20W: 約1時間30分

AirPods Pro(第一世代)
AirPods Proも今回ご紹介した20Wアダプタや12Wアダプタでそのまま充電してOKだ。本体側で電力を調節してくれるので、壊れる心配はない。どの充電器を使っても『ゆっくり充電』になるので、iPhoneと一緒に寝る前に挿しておくのが一番効率的。
Apple公式サイトには「5分間の充電で1時間の再生が可能」と書かれている。これを急速充電と勘違いしやすいが「ケースからイヤホン本体へ」の充電スピードを指している。

ちなみに充電パッドにおいているときにケースをタップするとステータスがわかるそうだ。
AirPods Pro 1、AirPods Pro 2、AirPods 3 または AirPods 4 (ANC) をお使いの場合は、充電マットに置いたケースをタップすると、AirPods が充電中か (オレンジ色で点灯)、またはフル充電済みか (緑色で点灯) がわかります。
AirPodsの充電方法とバッテリーの駆動時間について
急速充電に関する記述はないが長時間高充電の状態が続かないように計算するバッテリープロテクションがかかっている。これを知らないと「あれ、いつまで経ってもフル充電されない」と不安に感じることになるが、バッテリーを保護するための仕組みなので不安になる必要はない。
AirPods Pro や AirPods 3 以降の「バッテリー充電の最適化」を使うには、iPhone、iPod touch、または iPad が必要です。デバイスの設定時か、iOS または iPadOS 15 以降にアップデートした後で、この機能はデフォルトでオンになります。この機能を無効にするには、AirPods のケースの蓋を開けて、iPhone、または iPad で「設定」>「Bluetooth」の順に選択します。
AirPodsの充電方法とバッテリーの駆動時間について
AppleWatch(第三世代)
AppleWatch第三世代は急速充電に対応していない。第七世代以降であれば急速充電ができる。ちなみに18W以降だと急速充電ができると書かれている。
高速充電すれば、Apple Watch Series 7、Series 8、Series 9 ならバッテリー残量が 45 分ほどで 0 パーセントから 80 パーセントになります。Apple Watch Series 10 の場合は 30 分ほどで 0 パーセントから 80 パーセントになります。Apple Watch Ultra モデルの場合は 1 時間ほどで 0 パーセントから 80 パーセントになります。
Apple Watch の高速充電について
- Apple 製の 18W、20W、29W、30W、35W、61W、87W、または 96Wの USB-C 電源アダプタ
- 5W 以上の USB Power Delivery (USB-PD) に対応する他社製の互換 USB-C 電源アダプタ
充電器とケーブルがAppleに認証されているかどうかを調べる
最初の相談員があやふやだったため問い直したところ「ワット数は問題ではなく制御機構が問題だ」と言われた。巷にはたくさんの非純正製品が出ておりすべてをチェックすることはできないのだという。例えばこの充電器はAir-Jという会社のAWJ-PD1という製品だ。AppleMFi認証が調べられるデータベースにはAir-Jの登録はあるがモデルナンバーで調べても登録がでてこない。メーカーとしては登録があるのだからさすがに全く使えないものは出していないとは思うのだが「これが登録されているか」は別問題である。
ちなみにこのチャージャーは5.0A/1.5A=7.5Wを要求する。Mac(USB3(5V, 900mA=4.5W))に接続して使ったところ充電が遅々として進まなかった。そこでケースを外してACアダプター(5V/1A=5W)に差したところそれなりの速度で充電できるようになった。USBケーブルやケースなど様々な要因があり何がどう影響しているのかよくわからない。これならケーブル直挿しのほうが確実なのかという気がする。
Amazonで「Amazonオススメ」という安いLightningケーブルを買った。2本で600」円程度だった。Amazonの説明にはMFi認証品と書かれているがこれも型番で調べる限り登録はなかった。またパッケージにもMFi認証のマークはない。「3A急速充電」という表示があった。ただしメーカー自体は登録されている。データベースの整備が追いついていないのかも知れない。

コメントを残す