先日来、他人のWindows機をメンテナンスする機会が多くあった。このときにMacでは当たり前のことがWindowsではできないことに気がついた。そもそもMacユーザーは稀とされているのでMacユーザー視点でWindows機管理のコツをまとめた。
正直な感想を書くとこんな面倒なものをよくみんな管理しているなあと思う。
目次
お守り代わりのリカバリーメディアは必須
様々な理由があり「お守り代わり」のリカバリーメディアはぜひ作っておいたほうがいい。リカバリーメディアの作り方もメーカーによって違いがある。
Dynabookは出荷時に戻る。つまりWindows8.1時台に買ったものはWindows8.1に戻ってしまうし、Window10時代に買ったものはWindows10に戻ってしまう。そしてそのリカバリーメディアはHDD/SSDに紐づいているためこれが壊れると回復できなくなる。
Microsoftも出荷時OSに戻るのだがシリアルナンバーがあればインストーラーはネットから再度インストールできる。ただしマザーボードにSSDが直接ハンダ付けされているためそもそも「SSD故障=ハードウェアの寿命」だ。
LenovoもインストーラーはダウンロードできるのだがMicrosoftのOSサポートが終わるとダウンロードも停止されてしまうようだ。ここから類推するとMicrosoftもOSのサポートが終わるとインストーラーの配布は終了になってしまうものと考えられる。
包括ファイルバックアップの仕組みがない
MacにはTimemachineという機能があり環境を戻すことができるがWindowsにはそのような仕組みがない。代わりにiCloudのようなOneDriveという機能がある。ファイルのデータ量が膨大な場合MacユーザーはTimeMachineを選択する傾向にあるがWindowsユーザーは自分でファイルの退避計画を立てなければならない。
包括的にファイルとシステムをバックアップするという概念そのものがないのでMacユーザーがWindowの不便さを嘆いても誰にも理解してもらえない。
誰に何を聞いていいかよくわからない
メーカーの「親切なサポート」はアテにできない
MacはOSとハードウェアをAppleが作っているのだがWindows機はOSとハードウェアを別々の会社が作っていることが多い。このためサポートが充実しているはずのメーカーでも明確に対応できないことが多い。DynabookはとにかくWindowsのクリーンインストールを行った後修理対応で「見積もりを出す」と言われる。これが数万円単位になることも珍しくない。
Dynabookは5年保証という事になっているのだがこの期間内にHDDが壊れたり遅くなったりした場合に自分でHDDを交換するとサポートが受けられなくなるようだ。
Dynabookの言うサポートとは「メールの使い方が良くわからない」と言う高齢者向けのサービスだと割り切ったほうが良さそうだ。
OSの継ぎ足し更新によりシステムが破壊されることがある
OSの更新が継ぎ足しになっているため整合性が合わずシステムが破壊されることがある。システムが破壊されると「Windowsアップデートの回復」という作業が必要になる。ただしその前にシステムファイルチェッカー(SFC)やDISMコマンドを試す必要がある。
Windowsアップデートの回復の中にシステム復元という機能がある。ここまで状況が悪化するのは非常に稀とされているそうだが、2025年7月のアップデートはMicrosoftが配布したファイルに問題があったとされている。2025年7月の失敗を受けて2025年8月のアップデートが心配されていたがやはり複数の問題が起きているようだ。更新されるファイルだけでなく過去の修正ファイルをすべて更新しようとする「累積アップデート」が問題を引き起こしていると考えられている。
古いOSのダウンロードができなくなる
古いOSは自己責任でとっておくべし
MacのOSはダウンロードが容易。El Capitan以降のOSをダウンロードしてインストーラーを作ることができる。一方でWindowsはサポートを終了したOSのダウンロードを停止してしまう傾向があるため、現在ではWindosw8やWindows7などはダウンロードできない。このため中古PCの再セットアップが難しい。Window10もサポートが2025年10月14日に切れてしまうため早めにインストーラーを作っておく必要がある。インストーラーは8GB以上のUBSメモリが必要。
Officeの再インストール方法が独特
諦める前にMicrosoftアカウントを探そう
AppleはAppleストアから過去のアプリをダウンロードすることになっている。一度ダウンロード履歴があればOSが古くてもそのOSにあったバージョンがダウンロードできることも多い。WindowにもWindowsストアがある。ただしOfficeは仕組みが独特だ。
現在のOfficeはサブスクリプション版、ハードウェアバンドル版、買い切り版がある。買い切りはかなり効果なのでハードウェアバンドル版を使っている人が多いのではないかと思う。このハードウェアバンドル版はMicrosoftアカウントから再インストールすることができる場合がある。ただしアカウントとハードウェアの両方に紐づいているのでマザーボードを交換したりすると無効になるようだ。
さらにOffice2013のようにサポートが切れたバージョンはダウンロードできない。つまりHDDが壊れた時点でOfficeが使えなくなる。
実例
Dynabook B353/21K
Windows8.1搭載機だったがWindows10にして使っていた。ところが使っているうちにだんだん起動が遅くなった。結果的に実用的に使えなくなったためにDynabook PZ55/MBに乗り換えてもらった。これが捨てられなかったのは古いデジカメの写真を取り込むCanon Camera Windowというアプリを使っていたからだ。
ある日、ついにHDDが起動しなくなった。サポートも切れていたし「もう使い物にならない」ことが確定したためHDDを開けてSSDに交換した。Windows10のインストーラーそのものはギリギリMicrosoftからダウンロードできた。2025年10月のサポート切れ直前だったためだ。ただしリカバリーメディアは作っていなかったためOffce2013は救出できなかった。
取り外したHDDは中身が読めないほどファイル構造が壊れていた。再度フォーマとして使うかどうか迷っている。
Windows8.1からはデジタル認証になっておりWindows10への更新履歴があればWindows10へのデジタル認証も通るようだ。Microsoftアカウントとマザーボード情報が紐づいているらしい。
問題のCanon Camera WindowだがMicrosoft Silverlight導入が前提になっている。すでにMicrosoftがサポートを打ち切っているためダウンロードできず再インストールもできなかった。そこでChatGPTに聞いたところ「アーカイブ」からインストールする方法があると言われた。セキュリティ上は問題があるとされていて「インストールした後に削除しろ」などというアドバイスが付いていた。
結局のところ、このPCが使えなくなっていたのは「継ぎ足しのOS」問題だったようだ。(中華製の安いものではあるが)SSDに交換したこともあり数秒で起動するようになった。
Dynabook PZ55/MB
ある日突然再起動を繰り返すようになった。Dynabookに問い合わせたが「Windowsを再インストールしてだめなら修理対応」と言われた。最初はCPUやSSDの高温で落ちるのだろうと思ったのだが、意外な方法で回復ができた。
- 2025年7月のWindowsアップデートが失敗し続けていたので「アップデートの回復」でアップデートをやり直した
- CPUの稼働を80%に抑えた
Dynabook B353/21Kの事例があったためリカバリーメディアは作った。しかしMicrosoftアカウントに紐づいていればデータ復旧は容易。またOffice 2019は(おそらくサポートが続く限りなんだろうが)Microsoftアカウントからダウンロードし直すことができる。OSもOfficeも「デジタル認証」なのではないかと思う。
ただ持ち主は納得できなかったらしく「新しいPCがほしい」ということになりMicorosoft Surface Laptop Go3を購入した。少し凹みがある展示品で16GB/512GBモデルが格安になっていたためだ。Microsoftの製品を選択したのは「さすがに自社製品のテスト位はするだろう」と思ったからだがこの期待が正しいものなのかは正直良くわからない。
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