AI時代に入り「AI対応ができないビジネスマンは時代においてゆかれる」などと言われるようになった。そこでラインマネージャーからエグゼクティブを目指すような人に必要とされるPCのスペックとスキルについてChatGPT、GEMINI、Claudeに聞いてみた。GEMINIはハイスペックなPCが必要と主張したが、ChatGPTとClaudeは以外な回答を出力した。普通のPCで構わないというのだ。
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ハイスペックのパソコンは不要とChatGPTやClaude
このブログの下書きなどをさせているとGEMINIは「セールスモード」の出力をすることが多い。今回も「待ち時間はリスクだからできるだけハイスペックのパソコンを買いできるだけメモリを積むべきだ」との回答になる。セキュリティを考えるとローカルでAIを回せるだけの能力が必要だという。しかし、ChatGPTとClaudeは「(さすがに格安PCを買えとは言わないが)普通のスペックのPCで良い」という。例えばMacでいえばChatGPTはM2かM3で構わないという。ClaudeもM3以上を推奨だった。さすがにメモリは16GB(32GB以上あれば安心)という出力になる。
ChatGPTとClaudeが重要視する「問いを立てる力」
ChatGPTやClauedeはAIはサーバーサイドを中心に発展すると考えている。ここではラインマネージャーからエグゼクティブを目指す経営層にターゲットを絞っているので「ユーザーは問を投げるだけ」になる。計算をAIに任せて人間は思考と判断に集中すべきだと言う考え方がある。だからハイスペックPCは必要がないということになる。

AIを使うと問いを立てる力を練習できるようになる
AI]を使うと経営者が必要な問いを立てる練習ができるようになる。これはMBAで言うところのケーススタディである。ケーススタディ練習モードのようなものはないそうだが、設計すればケーススタディのトレーニングジムとして使えるそうだ。このためハイスペックのパソコンを買うくらいなら「プランをアップグレードしてAIに何千回も壁打ちできる権利」を買ったほうが有効なのである。
ここで「MBAのようなチーム討論モードはない」と考えたくなるのだが、AIに様々な役割を担わせることで疑似チーム討論は行えるようになっている。
つまり、毎日30分と時間を決めて経済新聞などの記事を読み込み「自分ならどう考えるか」をトレーニングできるようになるのである。
会議前の想定にも使える
もちろんこれは会議前のシミュレーションにも使える。プレゼンのときに資料を読み込ませ「最も聞かれたくない質問」を予行練習できる。AIなのでどれだけ失敗しても現実的なリスクはない。
実際にどんな優良プランがあるのか
ChatGPT(有料版)の場合
- 「カスタム指示」で常にMBAケースメソッド風に応答するよう設定可能
- 例:「私は経営者です。質問には常にハーバード・ビジネス・スクールのケースメソッド形式で、フレームワークを示しながら答えてください」
- 「GPTs」という機能で専用の経営コンサルタントAIを作成可能
- メモリ機能で過去の議論を記憶
Claude(Pro/Sonnet)の場合
- 「カスタムスタイル」機能で応答のトーンや形式を設定可能
- または会話の冒頭で役割を定義
- 「Projects」機能で文脈を保持しながら継続的な議論が可能 関連資料をアップロードして参照させることも可能
また将来的には外部データベースと接続して「実際のデータを見ながらの討論」なども可能になりそうだ。
MBA市場と採用市場に起きている変化

MBA入学希望者は増えている
ClaudeによるとアメリカのMBA出願者は前年比(2024年と2025年の比較)8.1%増加したという。これは2024年10月28日時点の情報。
- 2年制フルタイムMBAプログラムでは、72%の機関が前年からの出願増加を報告
また2023年から2024年にかけては
そうだ。雇用市場が悪化するとMBAに入学する人が増える。またビジネススクールが「どのようにAIをビジネスに組み込むべきか」を盛んに研究し始めている。アメリカの職場環境に大きなパラダイムシフトが起きていることがわかる。
またAI利用することで学習効率が上げられるようになり短い時間でより濃密な学習ができる用意になったことで、MBAのコスパが上がっているのである。
一方で「伝統的なMBA」を採用する企業は減っている
一方で
つまり、企業はこれまでのような旧型MBA(データ重視)は必要ないと考えているが、新型MBA(問いを立てる力重視)の人々を欲しているということになる。
コンサルにも似たような変化が起きている
同じようなことはコンサルでも起きている。リサーチ、スライドのたたき台、定型分析、競合比較などなどはすべてAIで代替可能になり「問題解決のために適切な問が立てられる人」が求められている。
マッキンゼーは2025年に約5,000人(全社員の10%)の削減を発表し、これは同社の約100年の歴史で最大規模の人員削減の一つだった。また、ビッグ4(デロイト、PwC、アーンスト・アンド・ヤング、KPMG)は2023年に合計9,000人以上のコンサルタントを解雇した。
しかしながらこれはリサーチャーなどの職種であって意思決定に関わる層の人達は比較的保護されているそうだ。
これまではMBAを持っていれば仕事が得られたのだが、下位10〜15%のMBA卒業生が主食オファーを受けられなくなっている。
就職試験でいきなり問われる「設問力」
AIは使う人によっては単なる話し相手だったり辞書だったりするのだが、使い方によっては思考力を鍛えるトレーニングジムのようになる。つまり全ての人に同じインターフェイスが与えられてはいるがその使い方は人それぞれである。企業採用者は「この人はAIを使って何をやっていたか」を見るようになっている。
例えばMBAでもAIにレポートを書かせているような人はすぐに見抜かれてしまっていい点数がもらえない。むしろ討論の予習や復習などを積み重ねた人が評価される。
実は採用担当者も試されている
逆にインタビューをする側の人も「この採用担当者は自分のスキルを活かしてくれる人なのか」を審査しているわけでうかうかしてばかりはいられないということになる。
Googleが主張する全く違う未来
問いを立てるなんて誰にでもできる
GEMINIはオープンなLLMが普及した現代は「問いを立てることなんか誰にでもできる」と言い放つ。それより重要なのはIT時代にExcelが必須だったように「自社の暗黙知をどうAIが扱えるデータに変換するか」という設計力がエグゼクティブに必須な能力になるだろうと言っている。
そのためにはデータの構造化(例えばベクターデータ化)が必要だというのだ。日々蓄積されるデータを「ベクターデータ化」するためには高い計算能力が必要なため、ハイスペックのPCとそれを扱える知的労働者が必要ということになるだろう。
MBA型経営では「データパラリシス」が起きた
MBA型の経営を知っている人は「コンサルに乗せられてマーケティングダッシュボードを採用したが指標が多すぎて却って意思決定できなくなった」と知っている人も多いはずだ。Goolgeの技術的に前のめりな姿勢は好ましいのだが、これは第二の失敗担ってしまう可能性もあると感じる。
いずれにせよ「何もしない」のが最も危険
しかしながら、いずれにせよ「まだ海のものとも山のものともわからないから競合他社がなにかやるまで様子を見ようが一番危険である。静かな選別が始まっていて「分かる人は分かる」が「わからない人は分からない」状態になっている。ブラウザーレベルで十分なので「スペック的にきついなあ」と思っている人は今のうちにパソコンの買い換えを検討したほうがいいのかもしれない。MacにしろマイクロソフトにしろAIを前提にしたハイスペックマシーンを買う必要はなさそうだ。あれは主にクリエイター向けに設計された製品と考えて良い。

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