AIには、まだ『研究』を語る資格がない AIを使いこなせる人と使いこなせない人の違い

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らくらくとAIを使いこなせる人がいる一方で「思うような結果が出ない」と苦労している人がいる。なにか特別なテクニックを知っているのではないかと思う人ともいるだろうが、実はシンプルなAIの特質を知っているかどうかにかかっている。

今のAIに研究ができない

え、そんなこと?と思う人がいるかも知れないが、AIはまだ研究ができない。では「研究とはなにか」ということになるのだが蓄積した知識を組み合わせる「推論」が苦手なのである。やってできないことはないが極めて効率が悪い推論しかできないというのが正確なところだ。

つまり、AIをスムーズに使いこなせている人は仮説を立ててAIに比較をさせる事ができている人ということになる。だから、うまくいっているスクリプトを見るのではなく、そのスクリプトを作る過程を見るほうが良い。

実は「研究ができるAI」が作られつつある

Axiosに「Nvidia deal shows why inference is AI’s next battleground」という記事が出ている。これはNVIDAとGrokについて書いている。GrokはLPU(Language Processing Unit)」という独自のアーキテクチャを開発し「推論」競争を挑んできた。今回はNVIDIAが本来ライバルであるはずのGrokの優秀さを認め手を組もうとしたニュースである。本格的に合流すると独占禁止法に抵触すルオそれがあるため「形としてはGrok」という会社を残したようだ。形式上Grokは他の会社と手を組むことができる(非独占的)契約だがこれは形式的なもののようだ。

いずれにせよAIチップが推論さえできるようになればAIは独自研究ができる未来が訪れるかもしれない。

もちろんAIが独自研究を行うことには賛否がある。研究過程は効率化されるだろうが人間が理解できない研究結果が次々と発表され制御できなくなってしまう可能性があるからだ。

AIが研究できるようになった暁には「何らかの協定」が必要になるかもしれない

このため「暫定的な取り決め」としてAIは役割を人間の助手に限定すべきだという意見も出ている。しかしながら現実的には「一体誰がAI産業を統治するのか」という問題があり、このスライド4のような状況になるのかは見通せないのが現実である。つまりまだ有力な業界団体や国家機関・国際機関が存在しない。

結論:とりあえず今はAIは推論はできないのでそれを前提に付き合う必要がある

とりあえず今のAIは推論は苦手である。このため「問いを立てる」のは人間の役割であり、AIがなにか出力を出してきたら、何らかの仮説を与えて問を返してやる必要がある。おそらくスムーズにAIを使いこなすことができている人はそのあたりがきちんとできている。もちろんAIの仕組みを知っていてそうしているという人ばかりではないかもしれない。つまり人から「なぜあなたはAIを使いこなしているのですか?」と言われても説明ができないだろう。

しかしおそらくAIを使いこなしている人は「推論」や「仮説立案」などがスムーズにできている人のはずである。なぜならば今の時点でそれはAIの苦手分野だからだ。

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