Apple Intelligenceの出力がクリップボードにコピーできない理由 バグではなく「サンドボックス」という設計思想の可能性

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iOS Tahoeが26.2になりAppleIntelligenceで独自スクリプトが組めるようになった。適切なモデルを選ぶとPrivate Cloud Compute(プライベート・クラウド・コンピュート)」に送られて「ほぼ制限無し(アカウントごとの制限はあるようだがAppleは公表していない)」でAI機能が使える。またセキュリティ的にも守られておりプライバシーにも配慮が行き届いていると言われている。

ところがこの仕組みにはある強力な縛りがあり「バグではないか」「スクリプトの組み方が間違っているのではないか」と捉えられかねない状況になっている。

AppleデバイスからPrivate Cloud Computeの独自AIが使えるようになった

今回はクリップボードにコピーした内容をAppleIntelligenceで要約させる。実際にはブラウザー経由でChatGPTやGeminiを使えばいいケースだがテストプログラムとして作ってみた。

実際の利用方法

用いるのは「モデルを使用」というパーツ。クリップボードの中身を変数(inputtext2)にコピーして要約させている。このときに使用するデバイスを選べる。性能が上がっているChatGPTを使うか、オンデバイスを使うか、プライベートクラウドコンピューティングを使うかである。当ブログはできるだけコスパよくAIを使うことをコンセプトにしているため、マシンリソースを必要としないありがたい選択肢だ。

AIへの命令を書き込む画面
モデル選択画面

スクリプトプログラミングに成功すると次のように要約が出てくる。

出力結果

しかし出力結果がクリップボードにコピーされない

しかしながらこの出力結果をクリップボードに書き出す命令を入れても実際には何も書き出されないのである。ここで「バグではないか?」と感じてしまう。

AppleIntelligenceの設計思想のようだ

Geminiになぜうまく行かないのか?と聞いても明確な回答はなくロジックに基づいて「こうしてみてはどうですか?」とアドバイスが返ってくるばかりだった。

変数を作ったり出力させてみたりといろいろ試した結果、おそらくこれは「Appleがショートカットをサンドボックス化しているからではないか」と質問したところ「その可能性が高い」との回答が得られた。

だったら最初からそうだと言ってほしかった!と思ったがなかなか先回りしては教えてくれないようだ。

どうやらAppleは外の世界とPrivate Cloud Computeをあまり接続したくないらしい

そう考えると

  • Apple製品を含めて他の製品からPrivate Cloud Computeへのインターフェイスがない
  • サンドボックスを解放してしまうとPrivate Cloud Computeが外から「叩き放題」になってしまうのでリソースを圧迫しかねない

という懸念と重ね合わせ「意図的に制限しているのではないか」と思えてくる。

一般には「どうせ使えない」と解釈されているようだ

AppleはAI対策で遅れを取っていると言われておりユーザーに何もソリューションを提案しないわけには行かない。しかしながらリソースを解放してしまうと外から浪費されかねないというジレンマも抱えている。

しかし結果的には「使ってみたがよくわからない」ということになり、単に「何だ使えないのか」とみなされかねない状況になっている。特に日本では夏に出たときの使い勝手が悪かったために(今はかなり解消されているのだが)どうせベータだろう?などと言う声が多いようだ。

このため一部Appleファンの間では「Apple Intelligenceがコマンド対応した!」と熱烈に歓迎されている一方でそれほどAppleに思い入れのない人たちからは見向きもされなくなってしまうかもしれない。

なぜかハックも作られ始めている

今回の情報はGeminiに問い合わせをしながら作ったのだが「抜け穴がない」と知ると、それをハックしたい人が出てくるようた。いわゆるいたちごっこである。

現状、アプリ開発者が自分のアプリにPCCを直接組み込むための公開APIは提供されていません。 AppleはPCCを『ショートカット』という強固な管理下に置くことで、セキュリティとサーバーリソースのバランスを保っているようです。 一部の開発者はショートカットを介して無理やり外部からアクセスする試み(CLI経由など)を行っていますが、Appleが想定した正式なルートではないため、一般ユーザーがその恩恵に預かることはまだできません。」

使いたい人は制限を理解する必要がある

しかしながらせっかく仕組みがあるのだからできるだけ使ってみたいという人も多いのではないかと思う。本来はAppleの公式がきちんと説明すべき事柄ではあるが、処理した内容はシステム的には外に持ち出せず、一旦人間がコピー・ペーストして持ち出す必要があると理解することも重要なのではないかと感じる。

ちなみにこの記事を作ったスクリプトに要約させてみたがAppleの公式見解が戻ってきた。これは意図的な設計のようだ。


iOS Tahoe 26.2では、AppleIntelligenceの独自スクリプト機能が追加され、Private Cloud Computeを利用してAI機能が提供されます。この設計により、セキュリティが強化され、外部との接続が制限されています。特に、クリップボードへのコピー機能は制限されており、これはユーザーのデータを保護し、リソースを効率的に管理するためのAppleの意図的な設計思想に基づいています。これにより、プライバシーを重視するユーザーにとって安心できる環境が提供されます。

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