仮にこれをカーコートと定義すると1910年から1920年までの伝統ということになる。戦後すぐの1950年代までは見られた形だそうだ。着方は自由だと思うのだが普通の服に混ぜると独特の味が出るのが面白いところ。
これはTomorrowlandの製品で、生地を提供しているのはLanificio Fedora(ラニフィーチョ・フェドラ)だ。調べてみるとかなり面白い歴史を持った生地であるということが分かる。




ブランド: Tomorrowland
購入価格: 不明円
購入日: 2020/12/24
推定年代: 不明
素材: ウール・ナイロン・カシミア混紡

Tomorrolandとは
トゥモローランドは、1978年にニットメーカーとして創業して以来、一貫して「メーカーとしての目利き」と「セレクトショップの感性」を融合させてきた稀有な存在。Tomorrolandの開始は1987年。2020年前後のコロナ禍では、アパレル業界全体を襲った未曾有の危機により一時的に苦境に立たされたが、安易な低価格化に走らず名門ミルの生地を贅沢に使用した「自社企画製品」の質を維持することで、独自の地位を維持したものと考えられる。
このジャケットを見ると「過去のアーカイブを参照しつつも、パターン自体は現代人の体型などにきちんと合わせている」と感じる。一方でファミリービジネスであるために「冒険しない・保守的」という印象もあるそうだ。
新興のセレクトショップが高級生地産地と組んだのと対象的に彼らは独自のアーカイブを使って彼ら形の洋服を作ることにしたわけである。その時に組んだのがプラートの織屋だった。
Lanificio Fedora(ラニフィーチョ・フェドラ)とプラート
Lanificio Fedoraはプラートにある織物屋だ。
ビエッラの優位性: アルプス山脈の麓に位置するビエッラは、良質な軟水が豊富で、古くからサヴォイア公国(後のイタリア王室の母体)の庇護下にあった。そのため、王室直属の「高級毛織物産地」としての公認を得やすく、独占的な地位を築くことができた。
プラートの立ち位置: 一方のプラートはトスカーナ州にあり、強大なフィレンツェ共和国の影響下にあった。フィレンツェは金融や芸術の都として君臨していましたが、プラートはあくまでその「周辺都市」としての扱いを受け、独自の強力なギルド(組合)特権を主張しにくい環境だった。
結果的にプラートは屑糸をいかにきれいに仕上げるかの技術が確立した。いわゆる「再生ウールの街」として知られている。今回のジャケットはカシミア4%・ナイロン20%という構成だが、こうした創意工夫は街の歴史の違いによって生まれたと考えられる。

このナイロン混紡のお陰でこのカーコートは扱いに困らない、非常に実用的な一品に仕上がっている。
中国人に占領されたプラート
もともとビエッラに比べると「雑草」だったプラート。そのハングリー精神からプラートは一次危機的な状況に陥った。中国人の移民が入り込み、経営を乗っ取ってしまった。彼らは中国系の労働者を呼び込んでファストファッションの前線基地に仕上げてしまったのである。この過程で中国人経営者たちは他のアジアの国から来た人々を搾取している。
こうしてプラートは「名ばかりメイド・イン・イタリア」の産地となった。これを解決したのがジョルジャ・メローニ(Giorgia Meloni)政権だった。2023年末から2024年にかけて、イタリア政府は「メイド・イン・イタリー」ブランドを保護するための新法を可決した。
- トレーサビリティの義務化: 製品がどこで、誰によって、どのような環境で作られたかを透明化することを厳格に求め、違反した場合には多額の罰金を科す仕組みを整えた。
- 偽造と搾取の同時撲滅: 「安価な移民労働で無理やりイタリア製を名乗る」行為を、知的財産の侵害(偽造)と同レベルの国家的なリスクと見なすようになった。
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