「テトラ水リサイクル」は買って後悔しないか?

テトラ水リサイクルは2021年に開発された新しい薬剤で半年ほど水換えをしなくても水の状態を保ってくれる薬剤である。その効果はテトラによって証明済みだが仕組みがわからないと「使い方がわからない」「効果が実感できない」と後悔しかねない。また人工的に水質を管理するデメリットがわからないために疑心暗鬼に陥ってしまう人もいるだろう。実はデメリットもきちんと製品に書いてある。

テトラ (Tetra) 水リサイクル(100ml)をAmazonで

メーカーが謳うテトラ水リサイクルのメリット

「テトラ水リサイクル」は、水換えの手間を劇的に減らし、あなたの熱帯魚ライフを格段に快適にする革新的な製品ということになっている。

  • 水換え回数が減る: 独自の成分が水をきれいに保ち、水槽管理がラクになる。
  • 魚が健康になる:自然に近い水環境を維持し魚のストレスを軽減する。

効果的に使うことができれば熱帯魚管理のデメリットである頻繁な水換えを減らすことができる。

実際の使い方

使い方としては水換えのときに1リットルに3mmほど入れその後定期的(テトラは1週間に1回と言っている)に規定量にしたがって入れる。発売元のスペクトラム ブランズ ジャパン株式会社によると「半年ほど(テトラは30週間までテストをしている)水換えをしなくても大丈夫」なのだそうだ。

しかしながら「効果を実感的ないから怖くて使えない」という人もいる

確かにレビューを見ると「なんか効果がありそうだ」というような肯定的なコメントが見られる。さらに全く効果がなかったという人は少ないものの明らかに効果が実感できたという人は少ない。

そもそも水の汚れとはなにか

だが、そもそも水の汚れがなになのかがわからないと効果が出ているのかどうかがわからない。スペクトラムブランズジャパンのウェブサイトには次のように書かれている。

  1. 餌をやるとバクテリアに分解されて有害なアンモニアが生まれる。
  2. アンモニアはバクテリアに分解されて亜硝酸塩になる。これも有害物質なのですぐに分解されなければならない。
  3. 亜硝酸塩は別のバクテリアに分解されて硝酸塩になる。硝酸塩は検出されてもいいが溜まると有害になるそうだ。例えば硝酸塩が貯まると酸性に傾き魚にストレスを与える。
  4. 硝酸塩は窒素ガスになり水槽の外に排出されるか水草の栄養になる。テトラ水リサイクルは最終的にできた硝酸塩を分解するバクテリアを増やすそうだ。

ここからわかることが2つある。

  • まず水リサイクルを入れてすぐに水質が大きく変化するということではない。
  • そもそも最初の水の状態がわからないと何がどう効果を示すかがわからない。

つまり「何も心配しなくても自動的に管理がラクになる」という製品でもないようだ。

実は注意書き(デメリット)も書かれているのだが……

レビューの中には怖くて使えないという意見がある。人工的に水質を管理するのだから「何かあるのではないか」と思うのだろう。実際には注意書きとして「何があるか」が書いてあるのだが意味がよくわからない。

極端な軟水(KHが低すぎる水)では、水質が急変することがありますので使用しないでください。という重要な警告は、製品パッケージや販売サイトの小さな注意書き欄(使用上の注意など)に記載されているに過ぎない。

薬剤なしで水槽がどの程度水質が良くなるかを掴もう

つまり、そもそも「どの程度で水質が悪化するのか」を掴んだうえで、一度水をきれいにしてから薬剤を使うべきだと言うことになりそうだ。そこでテトラテストを買ってきた。

テトラ・テスト6in1をAmazonで

実際に計測してみる

最初は中華製と思われる安い試験紙を使っていた。しかし目視ではどの程度水が汚れているかがわからない。そこでテトラ・テストを買い直した。アプリで水の汚れが計測できるのである。

水槽が2つある。1つがメダカ水槽だ。「知らない」とは恐ろしいことで硝酸塩が致命的な状態だった。これをほぼ全冠水することで一ヶ月での汚れの度合がわかった。

次にグッピー水槽だ。当初計測したときはびっくりしたのだが……

一ヶ月に一度水換えをすることで状況のコントロールに成功した。だいたい一ヶ月に一度1/3換水することで100以下に抑えることができるようだ。魚の投入量が多くなると水が汚れる速度も早くなってしまうことが予想される。

つまり、一度水換えの速度を掴んで「水換えの頻度を減らしたい」と考えたときに導入すると良いということがわかる。逆にそもそもの水の汚れ方を掴まないでテトラ水リサイクルが効果的だったのかそうでないのかを知りたいと思っても「よくわからない」という結論しか出ないだろう。

特に気になるKHに関する注意書きとその対処法

テトラの試験紙は実はKHも計測できる。いっけん「ニコニコマーク」なので安心かと思うのだが、GEMINIに相談してみると実は上下動そのものが不安材料になると言う判定を得た。

一方でメダカ水槽はここ二ヶ月は水質が安定している。このように「安定」してから使ったほうがいい。

実際のKH管理とテトラ水リサイクルの関係を端的にGEMINIにまとめてもらった

かなり難しいなと感じたのでGEMINIにまとめてもらった。

テトラ水リサイクルは水換えの手間を減らす素晴らしい製品ですが、「何も気にせず使える万能薬ではない」ことを覚えておきましょう。

この製品の注意書きにある「極端な軟水(KHの低い水)での使用不可」は、水槽の安定性に関する非常に重要な警告です。水槽の水には、水質が急激に変化するのを防ぐ「盾(緩衝能力)」が備わっており、この「盾の厚さ」を示すのがKH(炭酸塩硬度)です。

魚やバクテリアの活動によって、この盾は日々少しずつ削られています。盾が薄い(KHが低い)状態で製品を使うと、かえって水質が不安定になり、魚が体調を崩すリスクが高まります。

安全に、そして効果的に水リサイクルを使うための鍵は、「KHの安定した推移」です。製品を使う前はもちろん、使い始めた後も、テストキットでKHが十分な厚さを保っているかを定期的に確認することが、長期間安心してアクアリウムを楽しむための秘訣です。

ではどうすればKHを安定させることができるのか?

ではそもそもどうすればKHを安定化させることができるのか?と考えてしまう。

  • 「pH/KHアップ」や「アルカリ度を上げる」と書かれた製品を使う
  • 水換えを行いKHを外から追加する
  • サンゴ砂や牡蠣殻を使って中から追加する

ポイントになるのは水換えの頻度を減らす薬剤を使うのに水換えを定期的に行うとなってしまうところである。こうなると、リサイクル材は「過密になりがちな水槽のお守り」と捉えて負担にならない程度に現実的な水換えはやったほうがいいのかもしれない。

そもそもなぜこの記事を書こうと思ったのか?

水槽の状態を把握していないことで2度の崩壊を経験した

2回にわたってグッピー水槽を崩壊させた事がある。だが、なぜ崩壊したのかがわからなかった。一回目は夏にグッピーが爆発的に増えたあと激減し10月にオスがいなくなった。オスを買おうと思ったのだが近くのホームセンターにオスがいない。そこで稚魚をはらんだメスを1匹買ってきた。これも春先に爆発的に増える。前からいたメスが稚魚をはらみこちらも順調に育った。だが7月に気温が30度を超えると少しずつグッピーが減り始めた。最終的にオスが一匹だけ残った。これはいけないと考えてオス1匹、メス2匹を買ってきた。すると最後の生き残りが次の日にいなくなっていた。何が起きたのかはあまり想像したくない。

考えられる理由はいくつかある。

  • 水質が悪化しており気温が高くなったところでなにか壊滅的なことがおきた → 水質を把握する方法がなかったので何が起きたのかわからない
  • 高温によりなにかの病気が発生したが遺伝的に単一なので群れが壊滅した → 群れが増えた段階で別のグッピーを入れて遺伝的に多様にしなければならない
  • 何が起きているのかわからないのに慌てて水を替えた → 水質はあまり魚に優しくない硬度の高いものだったので、魚が弱っている状態で水を替えすぎてはいけない
  • 水道水でフィルターを洗った → その後水が白濁したが理由がわからなかった。おそらくはバクテリアが壊滅したのだろう。そもそも魚が弱っているときに亜硝酸塩が増えたことになる。

おそらくはこれらの要素が複合的に働き群れを壊滅させたのだと思う。基本になるのは「今の水の状態」の把握なのだろうと考えたのである。


Comments

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です