ホームシアターシステムとサウンドバーを持っている。カタログはあくまでも「売りたい人目線で書かれており「後悔しそうなポイント」についてはあまり触れられていない。そこで、あえて「後悔するポイント」を中心にまとめようと思った。
今あるサウンドバーの選択肢が知りたいという人向けにリストを作成した。
サウンドバーに新機能がついても型落ちの方が価格が安くて済むと考える消費者が多ければ短期間でDHT-S217からDHT-S218への移行は進まなかったはずだ。だが実際にはサウンドデザイン機能が充実したDHT-S218の方が売れるようになった。
一方でサブウーハーなしの製品の方が売れている。個人的にはサブウーハーは必須だと思うのだが(SONYのサウンドバー(HT-CT380)をサブウーハー付きで運用している)夜間周りに気を使うくらいなら重低音はいらないという人がふえているのかもしれない。同じ理屈でサウンドバーよりもDolby Atmos対応のイヤホンのほうが売れている。一人の世界に浸りたいという人が多いのかもしれない。
サウンドバーやホームシアターシステムを持っているとAmazon Prime Videoなどを使って簡単に迫力のある音を楽しむことができる。FireTVやGoogle Chrome Castなどを持っている人は是非サウンドシステムの購入を検討すべきである。大袈裟でなく本当に家が映画館になる。最新作を見たいということでなければ月々600円で映画を楽しむことができる。
ところが、いざ選ぼうとなると選択肢が多過ぎてよくわからない。ポイントになる点は2つある。サービスエリアと拡張性の有無だ。
サウンドシステムはサービスエリア(音の広がる空間の広さ)で選ぼう
サービスエリアについて詳しく知りたい人にはこのページを準備した。「本格的に音に包まれたい人」はホームシアターがいい。最初からフルセットなので拡張性も問題はない。だが、スピーカーの位置にはそれなりに気をつかう。さらにせっかく高い商品を揃えたはいいが実は気軽にスマホの音楽が聴きたいだけだったという人も出てくるだろう。つまり宝の持ち腐れになる可能性がある。そういう人はサウンドバーがいい。実際にはサウンドバーの方がよく売れている。
まず、映画を楽しみたいのか音楽を楽しみたいのかを先に決めるのが良いと思う。すでにサブスク契約していて立体音響(Dolby Atmos)を試したい人はAtmos対応のサウンドシステムが必要だが映画メインの人は特に気にする必要はないかもしれない。Amazon Primeの映画などは5.1chだ。
一方でテレビに接続したいと考える人はテレビからの音声を返すeARCと4K対応が重要になる。
次に決めるのはどこで使うかだ。8畳以上の広い部屋で複数で映画を楽しみたい人はホームシアターを検討した方がいいかもしれない。音が広がる範囲(サービスエリア)が広いからだ。だが6畳の部屋で1人で映画を楽しみたい人やテレビを机などに置いて映画を見たい人はサウンドバーで十分だろう。音が広がる範囲(サービスエリア)は狭いがその中でなら十分にいい音が楽しめる。机にテレビとサウンドバーを置けばパーソナルな映画空間が作れる。
売れ筋は一人または少人数で楽しむサウンドバー
実際にはサウンドバーの方がよく売れている。テレビが薄型になりスピーカーユニットを収めるスペースがなくなったことが影響しているといわれている。テレビスピーカーの音が悪くなると「とりあえずテレビの音をよくしたい」というニーズが生まれた。
売れ筋のサウンドバーはテレビの音が気軽に拡張できる10,000円〜20,000円程度の商品だ。YouTuberのレビューを見ると最新のものが欲しくなるが実際に売れているものは意外と安価なサウンドバーなのだ。
さらにAmazonのランキングを見ると重低音を増強するサブウーハーの需要はあまり高くない。個人的には少し意外だがこれが現実なのだろう。
テレビが薄型になり専用のサウンドバーの需要が高まった
サウンドバーの後悔は2つある。1つは「過剰な期待」である。例えば一度ホームシアターシステムに慣れた人は物足りなさを感じるだろう。毎日の生活がちょっと楽しくなる程度の買い物だと思った方が気軽に買える。ただ、使ってみて「意外と自分は映画が好きなんだな」と発見する可能性はある。このときに拡張性がないサウンドバーを選んでしまうとアップグレードできない。だから最低限の想定はしておくべきだろう。
最初はサウンドバーなど簡単なシステムを買っておいてライフスタイルに合わせて拡張するというのが最も間違いの少ない選択肢だ。最近では拡張性が高い選択肢も出ている。例えばSONYの少し高級な路線の製品やSONOSなどがそれにあたる。
今回はこの記事を書くにあたってSONY HT-K31、SONY HT-CT380、Yamaha YS-101、Yamaha YHT-S351を比較した。SONY HT-K31は最初から持っていたが後のものはハードオフで購入している。それぞれ4400円、1100円、4400円だった。
目次
ホームシアターシステムを買って後悔する人
結論から言うとホームシアターシステムが買えるならホームシアターシステムにすべきだ。正しくスピーカーを設置したホームシアターシステムで音を聞くと本当に家が映画館になる。サービスエリア(音が立体的に聞こえる範囲)は自由に設定できる。スピーカーを配置して自分で音を調整できるからだ。このため大人数で映画を楽しむようなソリューションを作るのに向いている。
だが、ホームシアターシステムはスピーカーの取り回しが面倒な上に比較的高価だ。
気軽に楽しみたいとか部屋をごちゃつかせたくないと言う人はサウンドバーを選択すべきだ。最近では「サウンドバーだけ買ってあとからホームシアターにする」というシステムも売られている。
実際にAmazonのランキングを見ると10,000円程度で気軽に音が良くなる製品が最も売れており次に20,000円程度でDolby Atmosに対応しているような製品が売れている。YouTubeのレビューを見ると高機能のものを手に入れたくなるかもしれないが、実際には多くの人が気軽に音を拡張したいという理由で簡便なサウンドバーを選んでいるという現実がある。
はじめに
- 初期型のホームシアターシステムは配線が面倒だった。現在のホームシアターシステムは無線になっているのでネットワーク・ルーティングなど無線LANの知識が必要になるかもしれない。
- ある特定の場所でのみしか効果的な音が聴こえないという「定位置問題」がある。
- こうした面倒を避けたい人はサウンドバーを選択したほうがいい。現在のAmazonのランキングのホームシアターのランキングを見るとスピーカーが独立したホームシアターシステムは入っていない。事実上サウンドバーのランキングと同じになってしまっている。それだけサウンドバーの人気が高いということである。
- 後からシステム変更するのが難しい。せっかく高いお金を出して買ったのに「後から最新の空間音響フォーマットが登場しました」などとなると全部買い直しと言うことになる。
ただやはり音に包まれてリッチな感覚で映画を楽しめるという体験には捨て難いものがある。さらに自分で好きな音響を組み立てられるのでマニア向けとも言える。
初期型は配線が厄介だった
上手にホームシアターシステムを設置して上手に音場を設定すると「音で包まれる感覚」が得られる。音場はきわめて自然だ。まずスピーカーを部屋の四隅に置いてその後でバランスを設定する。
ただ、初期型は配線が面倒という難点があった。たとえばこのSONYのホームシアターシステム(HT-K31)は特殊なプラグを使っている。コードを束ねて使っていると重みで接続が緩むため使わない間に音が聞こえなくなることがある。おそらくプラグがへたってきているのだろう。そのため定期的にサウンドテストをして結線が正しくできているかを確認する必要が出てくる。
またそもそも掃除が面倒なので部屋をケーブルだらけにしたくないという人も多かった。メンテナンスが意外と面倒なのだ。
過渡期にはフロントサイドに全てのスピーカーを集めて音を反射させるというサウンドプロジェクターという製品も作られていたが、結局はバーチャル立体音響のサウンドバーが売れるようになった。結局は手軽さに勝てなかったのだ。
このシステムでスピーカーを部屋の四隅に置くと普通のテレビ番組で部屋中に音響が響くような空間が作れる。ただし2003年に発売されたHT-K31はHDMIに対応しておらずDolby+にも対応していない。解決策はあるがセッティングは意外と面倒だ。
設置問題は最新モデルにおいて解消しつつある。最近はスピーカーさえ置けば自動的に音場を計測してくれる機能を持ったホームシアターシステムが出ている。また、後からシステムを追加できるというソリューションもある。
例えばYHT-S351は最初は2.1chで始めることができる。これで物足りない人はセンタースピーカーを足し、サテライトスピーカーを足すと良い。2.1chでも十分にAIR SURROUND XTREME技術を採用しており音の広がりが得られる。AIR SURROUND XTREME技術はサービスエリアが広いのが特徴だそうだ。
難点は高価なことだ。古いシステムをハードオフなどで探すと5,000円〜10,000円程度で手に入ったりする。今回手に入れたYAMAHA YHT-S351は4400円で手に入れたが元々の価格も40,000円程度だったそうだ。
だが現在、最新モデルをフルセットで揃えると20万円から30万円くらいの値段になる。本格的な5.1chの映画は5,000円くらいのChromeCast with GoogleTVやFireTV Stickで視聴可能になるしサブスクの利用料も月々600円程度だ。やはり最新のホームシアターシステムは割高だと感じる。
SONYのHT-A9はAmazonでサブウーファーなしでも230,000円と高価である。SONYも拡張スピーカーを売っている。SA-RS3SとSA-RS5Sいう商品だ。だが実質的にHT-S2000(54,000円)以降にしか対応していないなど組み合わせが複雑だ。調べてもよく違いがよくわからなかったのでカタログを調べたところ上部にイネーブルスピーカーが付いていて360度対応になるかならないかの違いなのだそうだ。店員の助けなしにAmazonで選ぶのは難しいのではないかと思う。
SONOSが拡張型のサウンドバーを売っている。こちらはまずサウンドバーを揃えて後からスピーカーを足してゆくという構成になっている。この構成だと自分がどんな音楽ニーズを持っているのかを知った上でシステムを足してゆくことができる。だが、全部揃えると30万円コースになる。SONOSはサウンドシステム構築ガイドを出している。まずサウンドバーを買い、サブウーファーを追加し、リアスピーカーを買って、最後にサラウンドスピーカーを揃えるという揃え方をするそうだ。興味のある人はぜひ一度見ておくと良いだろう。
無線で接続するのが簡単とはいうもののWi-Fiの場合はホームネットワークに依存する。このため、ネットワークメンテナンスという別の手間が出てくる。適切にWi-Fiの設定をしなければならない。パソコンの設定に慣れている人には大した問題にはならないが、ネットワーク設定は苦手という人も多いだろう。一方でSONYの場合は独自規格なのでWi-Fiの手間はないが機器の組み合わせという別の問題が出てくる。
どこでもいい音が聴こえるわけではないという定位置問題
ホームシアターは正しく設定すると確かに臨場感のあるいい音がする。ただ、最大限の効果を得るためには定位置(座る場所)を決めた上でスピーカー音量を調整する必要がある。ある程度広い家に住んでいてシアター専用の空間を確保できるならホームシアターシステムの方が確実に利便性が高いがそういう人ばかりではないだろう。
リア・フロント共にスピーカーの位置は非常に重要だ。長い間棚の上にスピーカーを置いていたのだが耳のある高さに置いたところ確実に満足度が上がった。セオリーはフロントスピーカーは耳の高さに合わせリアスピーカーは高さを少し変えるといいそうだ。
ダイソーのコーナーボードを買ってきて場所を調整したらサラウンド感が格段に上がった。ダイソーで一番小さい棚は100円だがこれだとちょっと心もとない気がする。サイズには少し余裕を持った方がいいかもしれない。
結局、個人的な解決策はYamahaのYHT-S351になった。2.1chで置き場所に困らない。目の前である程度の距離を開けて設置するとかなり広い空間でサラウンド音響が楽しめる。だが当然ながら物理的な広がりを出せるHT-K31ほどの広がりはないといった感じだ。この後でリモコンを手に入れてスピーカーを5.1chに拡張した。これでHT-K31と同じ音の広がりが出せるようになった。
サウンドバーを買って後悔する人
はじめに
新品のホームシアターシステムはあまりにも高い。このため現実的なソリューションとしてサウンドバーシステムがよく売れている。だが、スペックが読めないと期待通りの効果が得られないことがある。
後悔する理由は二つある。
- 映画館並の臨場感と音質を期待してがっかりする場合
- 拡張性のないものを買ってしまい後から後悔する場合
これまでホームシアターシステムに慣れていた人がサウンドバーを買うと「なんだやっぱり」と確実にガッカリするだろう。サウンドバーのメリットは接続の手軽さだからだ。冒頭に示したようにサウンドバーはサービスエリアが狭い。これを知らずに割と広い部屋で使い「サウンドバーのバーチャルでは立体音響が楽しめない」と考えている人は意外と多いようだ。また響きを利用するので小さい音では響きが得られないかもしれない。
サウンドバーの物理的な大きさでサービスエリア(音が立体的に聞こえる範囲)が決まり部屋全体に音が広がるわけではないという点は特に重要だ。また安さに釣られて10,000円台のものを買うと「後から拡張ができませんでした」となってしまう。サブウーファーすらつけられないというものやレコーダーが設置できないものもある。ただ安いサウンドバーにはテレビの音を手っ取り早く良くするという目的がある。要は使い方次第なのだ。
検討すべき項目は多岐にわたる。これを最初に選べと言われると「一体自分には何が必要なのか」という気になるだろう。個人的にはFireTVやChromeCastを使って映画館のような音響を楽しみたいという目標を設定した。これだとサブウーファーつきで最低でも5.1ch対応が必要だ。
- 最も安い価格帯のものは単にテレビを接続することしかできない。つまりレコーダーなどの外部接続に対応していない。テレビに複数のHDMIポートがあればそれでも構わないのだがそうでない場合には接続できない機器が出てくる。
- またサブウーファーが付けられるものと付けられないものがある。後になって後悔したくない人はサブウーファーとセットで買うか少なくとも後で追加できるようなものを買わなければならない。
- また2.1チャンネル、バーチャル5.1ch、バーチャル7.1chなどがある。サラウンドが必要な場合には最低でも5.1chが必要だし、立体音響も楽しみたいならば5.1.2ch、7.1.4chなどを選択する必要がある。
- スマホと接続したいならBluetooth機能のついたものを選ばなければならない。
- 立体音響が楽しみたい場合にはDolby Atmosに対応しているサウンドバーを選択する必要がある。ただし、Dolby Atmosに対応した音源を持っているかは最初に確認しておいた方がいい。サブスクサービスによっては対応音源がなかったりする。
最後は好みだ。たとえばYAMAHAのサウンドバーはクラッシックなどを自然に再現できる。だが、ゲーム中心の人にとってはあまり意味がないかもしれない。
重低音よりコスパを意識する人が多いようだ
重低音が出ないと後で後悔するのではないかという人もいるだろう。普通に電子音楽を聞く場合には意外と「専用のサブウーファーはいらないな」と思うかもしれない。だが、家で映画館のような体験をしたい人はぜひサブウーファーはあったほうがいい。迫力が断然違う。後になって「バーチャルではなくリアルに拡張したい」と考える場合には、拡張性の高いSONOSにするかSONYのシステム(製品によって拡張できるものとできないものがある)を選ぶと良い。
音楽メインの人はBluetooth対応の安いものでも十分かもしれない。Amazon PrimeについているAmazon Musicで確認した。Macで聞いたり、AppleTVでホームシアターシステムに飛ばしたりしてみたのだがもともとステレオ音源なので(リニアPCMだった)Amazon Echo 5くらいでも割といい音がする。例外はクラッシックやJazzだ。同じサウンドバーでも製品によって向いているものとそうでないものがある。ただし最近流行りの立体音響を体験したいという人はDolby Atmosに対応した機材が必要だ。
サウンドバーの売れ筋には2種類ある。1万円台の製品はサブウーファーが後付けできないものが多い。またHDMI端子が1つしかついておらず単にテレビに接続する前提になっている。つまりテレビの音がそれなりに拡張できればいいいという人に向いている商品だ。
一方、それ以上の価格帯のものは別売りサブウーファーが付けられるというものが多く、HDMI端子も複数対応だったりする。録画機HDMI端子でサウンドバーに入れて、サウンドバーからテレビに音を送る仕組みだと少なくともINとOUTの二つのHDMI端子が必要になる。テレビのHDMIがARC非対応だと光ケーブルの接続端子も必要になる。
結局、色々試した結果、SONY CT-380をiMacの前に置くことにした。サービスエリアがやや狭いのだが21.5inchのiMacで映画を見る分には十分なエリアが確保できる。Amazon PrimeビデオをiMacで見ると(Bluetoothで接続した)立体感は出ない。FireTV StickをHDMIポートに接続しプロジェクターで映像を出すように設定したところきちんと立体音響になった。後方ではなく耳横からやや後方まで音場が広がる。本当に立体になっているのだと思った。HT-CT380のサービスエリアはおそらく非常にパーソナルなものだろう。このように本来は音場の広がりを確かめて買うべきだと思うのだが、どのメーカーもサービスエリアについては解説していない。
10,000円で気軽にテレビにつないで楽しめるサウンドバーが一番の売れ筋
2023年1月時点で最もよく売れているのがソニーの10,000円程度のサウンドバーHT-S100Fである。だった。ソニー製品というと安心できそうだしフロントスピーカーだけで擬似サラウンド効果がある。さらにHDMI接続もできBlootoothも使える。この商品はとりあえずテレビに接続してテレビの音をよくするという製品である。ブルーレイレコーダーやFireTVなどを接続できるかは手持ちのテレビ次第ということになる。
HT-S100Fはアプリ操作には対応していない。重低音は強化されているのだが重低音専用のサブウーファーはついていない。立体音響対応もない。だがこれが2023年11月になってもAmazon売れ筋ランキングで1位になっているところから「重低音よりコスパ」という選び方をする人が多いのだろう。
同じような製品にYamahaのSR-C20Aがある。2023年11月には価格表示がなくなっていたが年末に向けてまた復活したようだ。なぜか赤が27位にランクインしている。新品はどんどんなくなっているようだが色違いの赤だけが乗っているのかもしれない。根強い人気がうかがえる。
多くのユーザーは20,000円台まで出してDolby Atmosくらいは楽しみたいと考えている
メーカーはできるだけ色々なオプションをつけて売りたいのだろうが、現実はメーカーが思うようにはならない。結果的にDolby Atmos/Dolby+などが楽しめる中で最も安い価格帯のものに人気が集中する。
2023年1月時点の第2位はDENONのDHT-S217Kだった。2023年1月時点の価格が23,000円と第一位のSONY製品よりも随分高いので「なぜこれが第二位なのか」という気になる。ちなみにDENONのカタログにはDHT-S517(ワイヤレスサブウーファー付きDolby Atmos)、DHT-S316(ワイヤレスサブウーファー)、DHT-S216(サブウーファー内蔵)がカタログされていた。DHT-S217KはS216の後継だと思うのでDENONの中では一番安いものが一番よく売られているというのは確かなようだ。AV WatchによるとDolby Atmosを搭載して「超進化」したという。価格の割にAtomos対応という点が評価されているのだろう。ユーザーはよく見ているなあと思う。Dolby Atmos & ロスレスで23,000円である。
同じくAtomos対応のYamahaのSR-B30Aも人気だ。24,000円なのでDolby Atmos対応で最も安い価格帯の製品だ。ユーザーが「どうせ買うなら立体だ」と思っていることがわかる。SR-B30Aはバスレフのサブウーファーユニットが付いているが「どうしても低音」という人は別途買い足す必要がある。
立体音響に関ししてはちょっと注意が必要だ。初期製品は7.1chをうたっているものが多かった。Bluerayプレイヤーが対応している。だが、近年になってDolby Atmos対応が増えている。ChromeCastやFireTVなど安価にDolby Atmosに対応したコンテンツを再生できるハードウェアが出ているからだろう。10,000円程度の製品はテレビ放送を前提にしているが、ChromeCastやFireTVなどを前提にしている人はもう少し値段を出してもいいものが欲しいと思うのかもしれない。
自分がサブスクを中心にしているのか、テレビなどを中心にしたシステムを組み立てたいのかは最初に決めておいた方がいいのかもしれない。サブスクでお目当てのコンテンツを見つけたらそれを元に必要なスペックを割り出すことができる。
そのほかのポイント
ここまではホームシアターシステムとサウンドバーの比較をしてきた。ここからはそれにもれたポイントをランダムに紹介してゆく。
Macのスピーカーとして利用する
ホームシアターシステムをMacのスピーカーとして利用している。AppleTV第二世代というもう誰も見向きもしないハードを2000円程度で購入しサウンドバーと光ケーブルで接続すると部屋中をスピーカーにするという楽しみ方ができる。
中古だとWi-Fi・Bluetooth・HDMIに対応していないサウンドシステムが5000円程度で売られている。AppleTVやAirMac Expressなどを使えばMacとの接続もそれほど難しくない。中古のAppleTVは1,000円から2,000円くらいで売られているし、AirMacExpressであれば500円くらいで手に入ったりする。
ホームシアターシステムで音楽を流しっぱなしにすると「ああこう言う音楽設計になっているのか」などと気付かされることもある。CD音源はステレオにしかならないのだが、バーチャルで5.1chにすると音に包まれている感覚が得られる。B’zの音楽などを聞くと最初は前の方でボーカルが歌っているだけだが要所要所で楽器の広がりが生まれる構成になっていることがわかる。
AppleTVとAir Mac Expressの選択だがAppleTVの方が設置は簡単だ。Air MacExpress(特に旧型)は親機をAppleにしないと接続が切れたりすることがある。またMacと音響機器をつないだ端末は同じセグメントに置かなければならない。
さらにHDMIポートがない場合機器であっても光デジタルに分離する機器で対応することは可能だ。これもAmazonで大体2,000円程度で手に入る。きちんとつなぐとFireTV Stickの5.1ch信号を分離することができた。
ただしこの機器には色々と癖がある。ChromeCastを例にして説明する。本来ChromeCastはハードが自動的に接続先を5.1ch対応かそうでないかを認識する。だが分離機だとこの辺りの設定がうまくゆかなくなる。まずChromeCast側を「接続先に関わらず手動でDolby信号を送る」設定にする。さらに分離機のスイッチを5.1chにしておく。さらにSONYのHT-K31はDolby+には対応していないのでDolby+の信号は送らないようにChoromeCastで指定する必要がある。
YouTubeの信号はSONY HT-K31側で3/2.1として認識された。Amazon Primeアプリはステレオ扱いになった。HT-K31を手動でDolby対応にすると飛行機の音が前から後ろに飛ぶようになったので信号自体は送られているようだ。いろいろ工夫をすると正しく5.1chになるのだが、配線が複雑になりあまり美しくない。
最近の映像コンテンツの充実ぶりには目を見張るものがある。FireTV Stick(第二世代)とChromCast with GoogleTVを購入しAmazon Prime Videoに加入してみた。このためサウンドバーであっても十分に立体的な音響が楽しめる。さらに本格的な体験がしたい人はホームシアターシステムを使えば簡単に「おうち映画館」を楽しめるだろう。
実例
最後に実例を紹介する。
実例1:YAMAHA YAS-101
今回最初に買ったのはハードオフで見つけたYAS-101という初期型のサウンドバーだ。2,200円で購入した。このサウンドバーはバーチャル7.1chに対応している。Bluerayコンテンツを光ケーブルで受けて立体音響が出せるという規格だ。だが、HDMIポートはなくDolby Atmosにも対応していない。別売りサブウーファーには対応しているが単体でもそれなりに重低音が出る。底面にSWユニットが整備されている。
SONYのサウンドバーと比べると音の感じが自然だ。SONYは人工物が多い街の景色といった感じだがYAMAHAは自然でバランスの良い音にこだわっているのだろう。これが良くわかるのがクラッシック音楽だ。「同じサウンドバーと言ってもここまで違うのか」と思った。
光ケーブルでレコーダーからの音を引っ張ってくるとかなり立体的な音場が作られる。NHKの名曲アルバムなどを聞くときちんと5.1ch対応していることがわかる。ホームシアターシステムSONY HT-K31は音に包まれる感じになり目の前にぎゅっと凝縮されるのがYAMAHAのサウンドバーといった違いがある。
またAmazon PrimeについているPrime Musicをかけてみたところとてもよく響いた。クラッシック音楽のような幅広い音域を含んだ音楽の再現性も満足度が高い。YamahaとSONYでは音の特性に違いがあるのでできれば「是非試してもらいたい」と言いたいところなのだが、最近は視聴して買える店が少なくなっている。これがとても残念だ。
実例2:SONY HT-CT380
次にSONYのCT-380を買ってきた。サブウーファーが別売りになっていて単体で2,200円だった。のちにサブウーファーを2,000円で買い足したがリンクのためにリモコンが必要だった。リモコンはAmazonで代替品が売られている。1,000円で手に入れた。YAS-101と比べるとメリットが3つある。
- YAS-101よりも格段に薄型
- Bluetoothが内蔵されているためスマホやFireTVスティックなどとの接続が簡単
- サブウーファーが無線接続になっていて置き場所に困らない
- DolbyだけでなくDolby+に対応している。
スピーカー数はYAMAHAよりも少ないため分離感は若干劣る印象だ。だがやはり聞いているうちに慣れる。サブウーファーはあってもなくてもという感じだが、あった方が満足度は高かった。2.4Ghz帯でリンクするため置き場所には困らないし無線の知識も不要。リンク後は安定しているのだがアプリからリンク操作することはできないためリモコンがなくなると再リンクができなくなる。またCT-380はCT380のサブウーファーしか対応していないという「組み合わせ問題」がある。
YAMAHAのサウンドバーと比べると高音がくっきりしていて解像度が高い感じがする。悪い言い方をすると人工的である。同じサウンドバーといってもメーカーによってアプローチが違うものだなと感心した。
また設置場所によって音の聞こえ方が全く異なる。ソファーの目の前に机を置いてその上にサウンドバーを設置したところ立体感が確実に増した。Amazon Prime VideoのDolby+で聞くときちんと臨場感が感じられる。
一応7.1ch対応ということになっている。Bluerayレベルの映像コンテンツも再生できますよということなのだろう。Dolbyは5.1ch対応だがDolby+は7.1chまで対応している。ホームシアター並みの体験ができるというより「信号がきちんと処理できる」という意味なのかもしれない。
D「今つながっている装置におけるベストな音」が再現できるようになっているようだ。ミッション:インポッシブル/フォールアウトで音を確認したのだが、周囲で車がブンブン飛び回っているのがよくわかる。空間オーディオだと上空をヘリコプターが飛び交ったりするのだろうがなんとなくドラマに集中できなくなってしまいそうだ。正直これで十分だなと思った。
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やはり最大の課題は「いったいどこに置くんだ?」問題
今回はハードオフにある2,200円の製品をたまたま2本見つけて買ってきた。安かったので音質でがっかりするということはなかった。だが80cm以上の大きさがあり「これはどこに置くんだ?」ということになった。
まず、机の上には置けないので机の下に棚を作ることにした。次に90cmの2×4木材を買ってきて自作でモニター台を作ってその上に置いた。細長い割に意外と大きいので置き場所は最初に検討しておきたい。「買ってきたのに持て余した」ではもったいない。
机の下に置くと音がこもってしまうが外に出すと音の広がりが感じられる。YamahaはこれをAir Surround Xtremeと言っている。ここに光ケーブルを引っ張ってきてテレビの音を流すとかなり迫力と解像度のある立体的な音場が作られる。気のせいか?と思ったのだが名曲アルバム(5.1chで放送されている)を流したところこれもきちんと立体的に聞こえた。バーチャル7.1chというのは嘘ではなかったようだ。
次のSONYのCT380とSONYのHT-K31を比べてみた。確かにHT-31を聞くと音に包まれる感じはする。音に変な加工もなく自然だ。だが、HT-CT380を聞いているとそのうち慣れるのも確かだ。CT-380は音を散らしている。前面スピーカーだけで音を広げる仕組みをSONYはS-Force PRO フロントサラウンドと言っている。分離感はYAMAHA 101に劣るのだが、これも慣れの問題である。聞いているとそのうち馴染んでくる。
色々試行錯誤していてHT-CT380はテーブルの上に置き目の前で鳴らすといい音がすると気がついた。スピーカーを分離できないのであらかじめこの位置で聞くといいという場所を指定して設計しているのだろう。FireTVのように安いハードで毎月600円を支払いAmazon Prime Videoに加入すると部屋が本当に映画館になるんだなあと思った。最近のハリウッド映画はセリフドラマ部分とアクション部分の音が分かれている。アクション部分に突入し急に目の前が立体的音響の包まれてびっくりするようなこともしばしば起こるほどには迫力のある音響が楽しめる。
音途切れ問題
Bluetooth機能付きのサウンドバーには音途切れ問題があるそうだ。Bluetoothの使用電波帯と2.4Ghz帯のwi-fiは電波帯が干渉するためどうしても避けられないのだと思う。MacユーザーやiPhoneユーザーがこれを回避するためには電波干渉が少ない5 Ghz帯の通信や有線接続を使えばいい。HT-CT380をBluetoothで使ってみたが特に問題になることはなかった。
お目当ての製品が見つかったら「製品名+音切れ」や「製品名+音飛び」で検索してみるといいかもしれない。Yahamaのサウンドバー+音飛びで検索するとたくさんの記事がヒットする。SONYはわざわざ音飛び対応のページを作っている。おそらくカスタマーサポートによく問い合わせがあるのだろう。HDMIケーブルでも音飛びが出ることがあるようだ。
最新の製品はさらに拡張性が上がっている
SONYは無線型のホームシアターシステムを作っている。HT-A9という無線で接続するシステムだ。価格はAmazonで23万円とかなりの高級品である。
また、現行品のHT-A3000,HT-A5000,HT-A7000はリアスピーカーとサブウーファーを拡張できる。リアスピーカーの中にはイネーブルスピーカー(上に音を放射する)ができるものがあり立体オーディオに対応する。
SONOSはもっと選択肢が豊富だ。最初にサウンドバーか空間オーディオスピーカーを買っておいて、後からサブウーファーを買い足してゆくことができるなど拡張性に優れている。ホームシアター構築ガイドによると次のような手順になる。ただしシステムを全部買うとかなりの価格になる。
- まずSONOS ARC(本格派),SONOS RAY(中ぐらいの部屋), SONOS BEAM(小ぶりの部屋でこれだけはDolby Atmos非対応のようだ)からサウンドバーを選ぶ
- サブウーファーを追加する
- SONOS ERA 100、SONOS ERA 300、SYNFONISCから2つリアスピーカーを追加
ポピュラーミュージックは音楽はAmazon Echo5でも十分だった
今回、機器のテストを兼ねてPrimeに入会した。Prime Musicで選びきれないほどの音源を聴くことができるのだが、さらにUnlimitedに入りませんか?などと勧誘された。音楽はMacやFireTVなど様々な機器で楽しめるのだがEcho Show 5も十分だなあと思った。キャンペーンで2000円くらいで購入したのでバカにしていたのだが、闇雲に高い選択肢を追求すべきではないと感じた。
もちろん個人差もあるのだろうが、馬鹿でかいステレオで大袈裟に音楽を聴いていた時代はもう過去になったんだなあと感じる。
気軽に重低音が欲しい人のパッシブラジエーター
今回さまざまなスピーカーを比べて意外だと思ったことがある。気軽に重低音が楽しみたいなら単なるアクティブスピーカーも選択肢になる。LogicoolのZ600という製品を880円で見つけた。背面にパッシブラジエーターと呼ばれる仕組みがあり机などを響かせて低音を作り出している。つまり置き場に困る面倒なサブウーファーがいらない。
最初はさほどパッシブラジエーターの威力に気がつかなかったのだが「のだめカンタービレ」を見てちょっと感動した。やはりクラッシック音楽は低音が響いた方がよく聞こえる。PCやスマホで音楽を聴くときに、低音を響かせたい人や音の解像度を上げたい人は実はアクティブスピーカー程度で十分かもしれないのだ。
ただ、置き場所によっては台座全体がサブウーファーになってしまうので重低音が響き過ぎてしまうかもしれない。
このカテゴリーの製品は別途まとめたが、手軽にいい音を聞きたい人の場合はアクティブスピーカー系の方がコスパはいいかもしれない。
このころのスピーカーはデザインが凝ったものが多く実用品としてだけでなくコレクターアイテムとしての魅力もありそうだ。
これらのスピーカーは低音の聞こえがいいということはないのだが、どこにおいてもそれなりの音が聴こえるという設計になっている。用途によって使い分けたい。
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