アーティストとの共創がAppleの強み
サウンドバーなどでお手軽にDolby Atmosを楽しむためにはという研究をしている。ただあれこれ接続を試すならApple製品で揃えるのが簡単だった。本来のDolby Atmosを超えた体験ができる。
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今、ピンク・フロイドのMoneyを聞きながらこの記事を書いているのだが気が変になりそう。もともとサイケな音楽だが、サウンドバーは目の前に音が広がる感覚だがイヤフォンのDolby Atmosは頭の中で響く。Moneyには人の声が入っている。遠くで宣伝カーの音が聞こえるなあと思ったのだが実は音楽の一部だった。
おそらくこれで映画を見続けるとちょっとおかしな感覚に陥るだろうと感じた。
Dolby Atmos(空間オーディオ)において、Apple製品ですべてを揃える意義は、制作側と再生側が強固に連携しているという点に集約される。
- クリエイターとの連携: Apple Musicは、多くのトップアーティストやエンジニアと協力している。彼らがDolby Atmosで制作した音源をリスナーが最も忠実な品質で体験できる環境を整えているのだ。
- 制作意図の再現: Apple製品(特にAirPodsシリーズ)は、Apple Musicの空間オーディオフォーマットを完璧に再生するために設計されています。これにより、アーティストやミキシングエンジニアが音を配置した3次元空間の情報を、設定いらずで正確に、そして最高の没入感とともに届けることができる。
- 簡単な最高の体験: 制作側が作り込んだ「空間」を、リスナー側はAirPodsを装着するだけで瞬時に、そしてシームレスに享受できます。「聴くだけで完結するプロの音響体験」がそこにあるといえるだろう。
Appleの実験としての空間オーディオ
頭の中で声が響き現実と区別できなくなるのは「幻覚」と一緒だ。この小さなイヤフォンは実は頭の動きを感知して音の聞こえ方を変えているためスピーカーで聞いているのかイヤホンなのかがわからなくなる。おそらくこれはサウンドシステムと言うよりはApple Vision Pro(3Dゴーグル型の空間コンピュータ)などを見据えた実験的な技術なのだろう。
エンジニアを通じて音楽制作プロセスを民主化
2021年、アップルはLogic Pro 10.7を発表し、数百万人のクリエイターに無料でDolby Atmos制作環境を提供した。これは、『最高の空間オーディオコンテンツ』を増やすためのアップル自身のエンジニアによる投資として作用するともに、エンジニアたちに今後Appleがこのフォーマットにコミットメントしてゆくと効果的に示すことになった。
この体験は映画でも独自の経験につながっている
次にAppleTVで無料コンテンツを視聴してみた。「窓際のスパイ」の1話が公開されている。iPhoneSE(第2世代)+AirPods Pro(第1世代)という組み合わせで見た。スマホを動かすと音源の場所が変わる。最終的に「イヤホンをつけていないかもしれない」と不安になった。
一体どの製品を買えばDolby Atmosになるんだ?問題
音楽制作現場では民主化が進んだが、ハードウェアの販売戦略はかなり錯綜している。IntelMacは「妥協的に」空間オーディオが取り入れられた。その後Apple製品による囲い込みが行われるのだが、おそらくこれには失敗している。このためOSレベルではHDMIパススルーという技術が導入された。
Intel MacでもDolby Atmosが使えるという記述があるのだが……
一部ドキュメントにこんな記述が見られる。
MacBook Pro (2018 年モデル以降)、MacBook Air (2018 年モデル以降)、iMac (2021 年モデル) の内蔵スピーカー
しかしこれはDolby Atomosには対応しているが実はヘッドトラッキングなどには対応していなかった可能性が高い。つまりこの製品とAirPods Proを使っても今のスタンダードで言うところの空間オーディオを楽しんでいるとは言えないかもしれない。
SequoiaではHDMIパススルーが導入された
もともとApple製品とAppleのサブスクにのみクローズドで対応していたDolby AtmosだがSequoiaでついにサードパーティ製の製品が使えるようになった。しかしApple独自の技術は使わないため操作がかなり複雑になっている。
この経緯のために手元に多くのApple製品を持っているのだがそもそもどれが空間オーディオに対応しているのかがよくわからない。
実際に探してみた
ドキュメントを探すとかろうじて手持ちのiPhone SE(第2世代)が対応している事はわかったのだがAirPods(第3世代以降)かAirPods Pro/Maxが必要だという。
とはいえ、そんなに簡単に対応するAirPodsなんか売っていないだろうと思った。そこでハードオフに行ったところ偶然Proを売っていた。ホワイトノイズが入るジャンク品である。おそらく右側のマイクが壊れており(一時リコール対象にもなっていたようだ)ノイズキャンセリングをかけるとホワイトノイズが乗る。
外部音声を取り入れる機能などが付いているがおそらくそれは使えないだろう。その代わりに価格は2,750円だった。マイクは生きていた。

Apple製品を使ってDolby Atmos(空間オーディオ)を楽しむ要件
Apple純正のアプリを使ってAppleのコンテンツを楽しむことが条件になる。
プラットフォームの要件
- AppleMusicのサブスクリプション
- AppleTVサブスクリプションか映画購入
コンテンツの要件
- Dolby Atmosに対応しているコンテンツのみ。
- しかも英語の映画の日本語吹き替え版はDolby Atmos対応していない
Macのハードウェアの要件
サポートドキュメントはやや混乱気味だ。実際にはIntel Macは対象外になっているがIntel Macを除外していないドキュメントもありこれが混乱の原因となっている。一方で正確に記述している(Appleシリコンと書いてある)ドキュメントもある。
Apple製品を使う場合
- iOS18がインストールできるiPhone(iPhoneSE第一世代は含まれないがiPhone第2世代は含まれる)+AirPods第三世代以降、AirPods Pro、AirPods Max。
- M1チップ以降のMac(つまりIntel Macは含まれない)+AirPods第三世代以降、AirPods Pro、AirPods Max。
- AppleTV 4Kと対応するサウンドバーの組み合わせ
Apple以外の製品を使う場合
サブスクサービスだけAppleTVを使う
AppleTVは4KでなくてもDolby Atmos配信している映画やテレビ番組がある。NetFlixやAmazon Primeなどは4KでなければDolby Atmosが楽しめなくなっている。Amazon Prime VideoのCM付きのプランはDolby Atmos対応をやめてしまったという情報もある。
- Chromecast with GoogleTV
- Dolby Atmos対応のサウンドバー(今回はDHT-S217を使った)
AppleシリコンのMac+サードパーティ製のサウンドバー
MacOS Sequoia以降のOSが搭載されたAppleシリコン製MacがHDMIパススルーに対応するようになった。Appleが囲い込み戦略を一部放棄しているのである。これを使うとDolby Atmosが楽しめるようになった。
セールを探せば安価で映画が買い取りできる
最初は「AppleTVはサブスク前提」だと思っていた。しかしこれは本当ではなかった。まずテレビドラマシリーズの第一話はお試し視聴できる。だがこれはサブスクサービスのお試しなのでAppleTV+と書かれている。映画はレンタルと購入が可能。
そもそも名称が複雑でサポートと話をしていても混乱する。
- AppleTVというハードウェア
- AppleTVというソフトウェア(アプリ)
- AppleTV+と言うサブスクリプションサービス
があるが、全く馴染みのない人には「何がなんだかさっぱり」だろう。
iPhoneのAppleTV視聴はすぐに始められるがやたらと「AppleTV+の無料お試ししませんか?ボタン」がでてくる。ChromeCast with GoogleTVはもっと複雑でiPhoneでログインしなければAppleTVアプリの中身は見られない。AppleIDを持っているかを厳しくチェックしているのだ。ここで「サブクスクに誘導されるのでは」と思ったのだが、それはない。
500円でブレードランナー2049を買ってきたが十分に楽しめる。
接続の容易さはさすがにApple製品という感じ
接続は極めて簡単
AirPods Proもジャンクなので使えない可能性もあった。電源ボタンをさがしたが見つからない。何かマニュアルが必要なのだろうと思ったのだが実はケースに入れてふたを開けると自動的に認識される。

このあたりのユーザーインターフェイスはさすがにAppleという感じだった。
外すときも簡単だ。耳から外すと音が消える。YouTubeなんかを見ていると再生も止まる。またケースにいれて蓋を閉めると見えなくなる。蓋にも蓄電機能があり継ぎ足し充電がされる。
「自動接続」にしていなければケースを開けた状態でペアリングをやり直し別のMacと接続することも可能だし自動に設定しておけば出して耳につけただけでペアリングが完成する。
肝心の聞き心地は?
さて肝心のDolby Atmosの聞きごこちだが実に不思議だった。しばらく聞いていると「外の音を聞いているのか」「イヤフォンの中から聞いているのか」がわからなくなってくる。
さらに冒頭のピンク・フロイドのように(もともとサイケデリックな曲調だが)幻想的な曲を聞いているとまるで幻想のように聞こえる。もともとの音声をDolby Atmosで作り直しているそうだ。
またDolby Atmosが聞きたい人のためにプレイリストも準備されているのでコンテンツに困ることはないだろう。


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