はじめに
Open Legacy Patcherを使うと古いMacに最新OSをインストールできると聞いたことがある人は多いだろう。だが「本当に使えるのか?」と疑問を持つ人も少なくないのではないか。結論だけを書くとOpen Legacy Patcherはかなり魅力的な選択肢だ。ただしOSの力だけでなく複雑な処理を必要とするような作業(例えば動画編集=iMovieなどや楽器化=Garagebandなど)はできないと思ったほうがいい。
Core 2 Duo, Core i3, Core i5でそれぞれ試してみた。
目次
幅広い機種に対応するが導入にはコツもある
OpenCore Legacy Patcherを使ってMacBook Late 2008(Aluminum)にVenturaを入れることに成功した。その後MacBookのOSをVenturaからSonomaにアップグレードすることには成功したのだがSequioiaを入れたところ起動しなくなってしまった。
そこでどういうタイミングでインストールが成功するのかということを調べることにした。将来的に使うことも考えて格安中華製のSSDを2つ買ってきた。
ChatGPTに聞いたところ「一回OCLPを入れたところに再び別のOCLPを入れようとすると混乱することがあるのではないか?」という。
また、一度OpenCore Legacy Patcherを入れてしまうとブート領域が書き換えられてしまうので元のOSに戻しても痕跡が残ってしまう。できれば起動ディスクは入れ替えたほうがいいだろう。
Core 2 Duo : MacBook Late 2008(Aluminum)にOSを入れる
Core2Duo X Sonomaの組み合わせはギリギリ普段遣いできる感じ。ただしSSDを使おう。
1つのHDDに複数のOSを入れてみる
500GBのHDDに3つのGUIDパーテーションを切った。Ventura、Sonoma、Sequioiaのどこかで失敗してもハードディスク全体を飛ばさないための工夫だ。
次にVenturaのインストーラーを作りMacintosh HD 1にインストールする。
MacBook Late 2008は古いモデルなので導入のためにUSB2.0のハブが必要になる。USBメモリを刺すとハブが刺せなくなるので下駄になるハブが必要だ。
インストーラーを起動した瞬間にUSB1.0/1.1のサポートがなくなり内部キーボードが使えなくなる。さらに幅のあるKIOXIAのUSBメモリを刺すとハブが刺せなくなる。下駄ハブもUSB2.0ハブなのでこれ一本でもよさそうだが、この下駄ハブにUSBメモリを刺すと「このディスクは使えない」と言われることがある。このため念のために別途USB2.0のハブが必要になる。意外と複雑だ。

このセットを使い2時間ちょっとの工程で無事にVenturaがインストールできた。
- HDDにインストーラーを展開するのに29分
- ハードディスクへのインストールに29分(ここでインストーラーが展開される)
- 「1分未満」になってから22分(ここで壊れたと思って諦めてしまう人が多いらしい)
- 数回の再起動に15分
- 1%完了と出たら大体成功しているが、ここからさらに11分
だった。
ここで、USBメモリを抜いてしまいたくなると思うのだがHDD側にもブートローダーをインストールしないとMacがインストールディスクを認識しなくなる。またルートパッチも忘れずにインストールしなければならない。
ブートローダーを内蔵ディスクにインストールせずにUSBメモリを消してしまうと、起動できなくなって詰みます
次に1時間ほどかけてSonomaのインストーラーを作った。同じセットでSonomaをインストールすると正常にインストールが終了した。
VenturaからSonomaへのアップグレードは一度成功しているので同じところに入れてもいいとは思うのだが今回は実験なので別々のパーテーションにOSを入れることにした。Sonomaもやはり2時間でインストールが終了した。
Sequoia(これもダウンロードするときに「正常に起動しない可能性がある」という警告が出る)はなんどやってもOSをインストールすることができなかった。
複数OSを入れると失敗時にディスク構造が崩れることがある
OSのインストールに失敗するとDataと呼ばれるディスクが残る。Macintosh HDという名前だとMacintosh HD Dataになってしまう。OSディスクを作るときにはコンテナをシステムボリュームとDataボリュームに分けるそうだがシステムボリュームがきちんと作れなくなると「失敗」判定になってしまうようである。
ハードディスクの起動可能な領域を残すためにはパーテーションを分けたいところだが、これをやると(特にOSが新しくなればなるほど)失敗の可能性が増えるというジレンマに陥る。SequoiaはダメでMontereyはインストールできたりした。
とにかく、こういうことはあまりしないほうがいいようだ。

繰り返しOSを入れるとAppleから怪しまれる
最終的にMonterey・Ventura・Sonomaを入れたのだが同じAppleIDでサインインを繰り返したために普段使っているMacのアカウントに制限がかかってしまった。通常のAppleIDパスワードとMacの管理用パスワードと別のMacの管理用パスワードなどをランダムに求められる。
OSの起動時間は特に変わらない
最終的に起動実験を行った。最初は厳密に秒数を測ろうと思ったのだが「全体的に起動に数分単位で時間がかかる」という感じでOSによって特に変化があるという感じでもなかった。
メモリは必ず公式にサポートされているものを使おう
このMacBookは公式ではサポートされていない6GBのRAMを積んでいる。またサポートはPC3-8500なのだがPC3-10600が2枚という構成。この構成にする前はVenturaとSonomaが機嫌よく動いていたが、構成を変えてからフリーズすることが出てきた。
YouTubeは途中でエラー(11)を起こした。Wordpressでブログを書いてみようと思ったがスクロールがうまくでなかったりする。
やはりHDDではなくSSD
HDDはやはり動作が遅いのでOricoというメーカーの格安SSDを買ってきて試すことにした。メーカー3年保証ということになっているのだが購入後30日はAmazonの代理店で面倒を見てくれるようだ。またその後18ヶ月の保証も付いている。その後はメーカーにメールで問い合わせすることになりそうだが本当に応じてくれるのかは未知数。ちなみに価格はスマイルセールで2080円のものが1580円だった。
これでSonomaを入れようとしたが一度入ったものが途中で失敗してしまった。やはり運なのかあるいはOSが13.7.5から13.7.6にマイナーアップデートしたためなのかなどはよくわからない。やはり不安定だなあと言う印象は残った。
Venturaのインストーラを作って起動したところ内蔵ディスクのSonomaがインストール途中で終わっているだけだった。結果的に内蔵ディスクのSonomaインストーラが2回目でインストールに成功しSonoma化することができた。
HDDにせよSSDにせよ起動はゆっくり目。またHDDの場合は動作もノロノロでとても使い物にならない。ここは安くてもいいのでSSDを選択したい。
不思議なことに導入後1日寝かせると落ち着きYouTube閲覧などの閲覧ができるようになった。ファーストインプレッションで判断しないほうがいい。ただし純正の日本語プログラムは使い物にならないのでGoogle日本語入力が必要。
Core i3 : iMac 2010の外付けディスクにOSを入れる
Corei3 X Sonomaの組み合わせは普段遣いで十分に使える。外付けSSDでも意外となんとかなる。
iMac 2010ではもっと不思議なことがおきた。まずパーテーションを切ってHigh Sierraが入っているところにSonomaを入れた。これは無事に入った。だがパーテーションの切り方を間違えてしまい70GBしかなくなってしまった。
そこで新しくパーテーションを作りそこに再びSonomaを入れようとしたのだがDataディスクだけが残りインストールに失敗する。一度導入できているのになぜか今回はだめだった。
そこでChatGPTの指摘を思い出し「新規のディスクを作ればいいのではないか」と考えた。今回は過去の失敗を踏まえ実践でも使えるように256GBのSSDを外付けにして使おうと思った。
ちなみに内部のUSBだと3Gbsで接続されるがiMac 2010はUSB2.0までしか使えないので450Mbpsまで接続速度が落ちる。これが気がかりだった。
実績のない中華製格安SSDなのでかなり迷ったのだがたまたまスマイルセールで2999円が2299円になっていた。5年保証ということになっているが「メールで連絡をしなければならない」事になっており「本当なのかなあ」ということも気になる。
やはり初期化したSSDを使うのが一番
実際にやってみると一度失敗したインストーラーで無事にインストールできた。おそらく原因はパーテーションの切り方だったのだろうと思う。
なおDiskSpeedTestで調べたところUSB2.0の外付けで速度はWriteで24.8MB/s程度・Readで33MB/sだった。HDDと同じくらいの性能ということになる。
一応、内蔵ハードディスクを取り外して入れ替えることも可能だが、センサーの接続を間違えるとファンが回りっぱなしになことがあるため今のところは踏み切れていない。
Core i 5 : MacBook Pro Late 2011にOSを入れる
Corei5 X Sonomaの組み合わせは普段遣いで十分に使える。MacBook Pro(初期型)はSSDの入れ替えも簡単。
これまでの失敗を踏まえてMacBook Por Late 2011にSonomaを入れることにした。修理失敗品をヤフオクで手に入れた。カメラケーブルが引きちぎられており、Wi-Fiカードとロジックボードをつなぐケーブルが欠品だった。またバッテリーも入ってなかった。
なおこの機種は最初からUSB2.0に対応しているのでインストールために「USB2.0対応のハブ」などは必要がない。改造のしやすさ(HDDの入れ替えが簡単)を踏まえるとOCLP化には最適なのかもしれない。

CPUがCore i5なので実用的にSONOMAが使える。
成功する条件
これまでの経験を踏まえると成功する条件は次のようになる。
- SSDを使う。
- メモリは定格の1333 MHz DDR3を8GBだけ使う。
- SSDは初期化して他のOSとは共存させない。
これらの条件を守れば難なくSonomaにアップグレードすることができた。
できること・できないこと
一通り軽い作業を行ってみた。Pages、Numbers、Google Cromeなどの作業は問題なくこなすことができる。写真も問題なく使えるようだ。天気は使えるがマップは使えない。ファインダーや写真からPagesに写真をドラッグ・アンド・ドロップして表示させる作業も問題はなかった。
しかしながらハードウェアに依存するサービス(AirDropやiPhoneのネット共有など)は利用できない。OpenCore Legacy Patcherにはハードウェア要件を解放する仕組みもあるそうだがデフォルトでは使えないそうだ。
さらにGaragebandは立ち上がるが「グラフィックの更新ができない」というエラが出て使えなかった。iMovieも起動はするのだがムービーは表示されない。つまりグラフィック周りをきちんと処理できていない事がわかる。Appleのマップは3D表示のためにかなり特殊な処理をしているのではないかと思う。
なおOSアップデートは簡単と言うことになっているのだがSonoma 14.7.6からSonoma 14.7.7のアップデートはできなかった。
MacBook A1278とは – Gadget Macで作るホームデジタルスタジオ へ返信する コメントをキャンセル